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遊戯王EXA - elysion cross anothers -
TRICLE STARGAZER
TRSG-JP007《その日、少女は泣き崩れた》
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が出来ないため、もう片方に突破されて死ぬ」

 ……そしてそのまま、その第三者―――天河紗姫(アイシア)の弟、風見蓮が解答を言い終えた。

「………そうだよね、ゆみな」
「風見君! 無事だったんですね!」
「うん。デュエルは負けたけど、闇のゲームでちゃんと勝ったからね」

 ……アイシアは、目の前の光景をすぐに認識することは出来なかった。蓮は屋上で、アイシアに永遠の別れを告げたばかりだ。その彼が、何事もなかったかのように帰還してくるなど、誰が予想出来ようか。

「え、それって……まさか」
「あー……うん、多分Exactry.」
「……殺害(DANZAI)お疲れさまでした。」
「殺害って言うなっ!」
「いや、どこをどう取っても殺害じゃないですか」
「いやまあそうだけど!」
「それに、こんなことしてたら評価下がりますよ?」
「何の!? それ誰の評価!?」
「いや、にじファンとか」
「閉鎖済み! てか何!? この体験を小説にでもするつもりなの!?」
「え、ダメなんですか……?」
「いちいちこの世界のオリカなんて覚えてないし思い出したくもないっての!」

 蓮とゆみなが、メタ発言の応酬を続けている。彼ら自身―――アイシアに憑依した天河紗姫を含めて―――メタ側の出身であるが故、致し方ないことではあるのだが。

「本当に……れーくん、なの………?」

 しかし、アイシアにその声は届いていない。恐る恐る彼女が蓮に問う。

「え? ……あ、ごめん紗姫姉。結局帰ってこれちゃった」

 彼の応答は、確かに彼女を恐怖から解き放った。二度目の死別、その恐怖から彼女を救い出した。

「……ばか」
「え?」

 無意識のうちに、紗姫(アイシア)は抱きついていた。彼の温かさに、ひとりでに涙が零れていく。

「れーくんのばか! 本当に怖かったんだよ!? 今から死ぬなんて言って……! もう二度と、れーくんに会えなくなっちゃうんじゃないかって………!」

 そこには既に、仮面(アイシア)はない。生前に義弟を"れーくん"と呼んでいた……天河紗姫が、そこにいた。

「もう二度と、絶対にそんなこと言わないで! 私の前から消えようとなんてしないで……! もう……私……!」

 台本なんてない。それは、すべて少女の心からの声。愛する者の腕の中、涙を流しながら紗姫は蓮の顔を見上げて言った。


「れーくんと一緒に……いられなくなるなんて………いやだよ………!」


 紗姫が泣き疲れて眠ってしまうまで、彼は少女を抱き続けていた。
 彼のその温もりが、(すべて)を失った彼女にとってはとても嬉しく……同じくらい、とても苦しいものであった。


 ……今の言葉がプロポーズだと蓮が気づいたのは、彼
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