第六話
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のに私達は揃って目を丸くしてしまった。
一つの包みには篠笛があり、もう一つの包みには髪留めが入ってる。そして最後の包みには。
「……眼帯、か?」
そう、眼帯が入ってた。刀の鍔を加工して作られたそれは見事なもので、でもその鍔に私達ははっきりと見覚えがあったんだ。
「親父の刀の」
輝宗様の刀にあった鍔で、これは輝宗様を埋葬する時に一緒に納めたはずだった。
だから今この場にコレがあるはずがないのよね。
それにこの篠笛も昔小十郎が輝宗様から賜った潮風という笛と同じものだし、私にと贈られた髪留めも昔輝宗様から貰った物と同じだ。
……これは、どう考えても。
「……サンタさん、来ましたね」
「…………。……ああ、来たな」
呆然と贈り物を手に持ちながら、私達はそんなことを言い合う。
輝宗様が笑ってる顔が思い浮かんで、苦笑するしかなかった。
良い子に贈り物を、ってことかしら。全く、輝宗様らしい演出だよ。本当。
誰も祝ってくれない私の誕生日と重なって嫌いだったクリスマスは、何も私には奇跡をくれないと思ってた。
けれど、こんな奇跡が起こるのなら……少し好きになってもいいかなって思ってる。
ありがとうございます、サンタさん。
心の中でお礼を言って笑う私に、小十郎もまた穏やかに笑ってるような気がする。
そんな私達を政宗様が腕に抱いて、穏やかに笑っていた。
「……忘れちまうところだったぜ。小夜、小十郎。Happy Birthday」
「覚えてたんですか……ありがとうございます、政宗様」
誕生日を祝うその言葉が私達の生まれを祝福してくれているようで嬉しくなる。
何だか今年のクリスマスは良い日だったな、そんなことを考えていた。
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