第四話
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気付いてるだろうか。厭味だって。
「何、構わん。美味い料理の礼よ、それに可愛い政宗の頼みじゃ。これくらいはするわ」
そんなことを言って小十郎を起こさないように笑う輝宗様は……やっぱりなんか威厳ってものが全く無くて困ってしまった。
とりあえず小十郎の刀も預かって枕元にそっと置いておく。サンタクロースからの贈り物は枕元にこっそり置くってのが相場だ。
……あ、でも、小十郎のプレゼントは刀でも良いけど、こういう方が喜ぶかもしれない。
「輝宗様、御手を煩わせても良いでしょうか」
「何じゃ」
「小十郎にクリスマスプレゼントを上げたいのですが……」
耳元で軽く打ち合わせをすると、輝宗様は笑って小十郎の側に座っていた。
私は部屋の明かりを遮るようにして座り、部屋の中を薄暗くする。
何を言ったのか分からない綱元殿は首を傾げて成り行きを見守っているが……
多分これは小十郎が子供に戻ってる今しか出来ないことだと思う。
そっと小十郎の髪に触れて頭を撫でる輝宗様を、ぼんやりと熱に浮かされた目で小十郎が見ている。
暗くて顔が見えないから一体誰が頭を撫でているのか分からないはずだ。
「小十郎、具合はどうじゃ」
「……誰、だ」
力なくそんなことを言う小十郎は、やはり誰だか相手が分かっていない。
普通なら声を聞いただけで誰だか分かりそうなもんだけど、熱が高いせいもあってよく分かってないんだろう。
「何を言っておる。この父の声を忘れたのか。……小十郎、よう頑張っておるようじゃな。
政宗様の近侍に取り立てられて、儂は鼻が高いぞ」
「父上……?」
「……すまなんだな、幼いお前達を遺して逝ってしもうて……。
いつも儂はお前達のことを母と二人で見守っておる。……これからも日々精進するのだぞ、小十郎」
こんな言葉をかけて小十郎の髪から手を離し、そのまま立ち去ろうとした輝宗様の手を小十郎がしっかりと掴んでいる。
思わぬ非礼にこっちは焦っちゃったけれど、輝宗様は少しばかり驚いた様子ではあったもののそれを咎めることはしなかった。
「……父上」
夢うつつ、そんな感じのあの子の声に、輝宗様が優しく笑いかけている。
けれど、小十郎の言葉にその笑みが消えたのを私は暗がりでしっかり見ていた。
「この私は……生まれて来ても良かったのでしょうか……」
普段絶対に人には見せない小十郎の心の内側、抱えてきた苦しみの一端をこんな茶番で表に出した。
これが姉であれば馬鹿なことをと説教したかもしれないけど、相手は輝宗様だ。
一体どう答えるつもりなんだろう。
「……兄上達にずっと言われておりました。父も母も、お前が邪魔だから置いていったのだと。
必要な
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