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竜のもうひとつの瞳
第二話
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状態を維持して出来上がった柿を攪拌したものに、政宗様と一緒に牛乳を入れていく。
そこに柚子を絞ってよくかき回して、しばらく冷やしておけば柿のムースの完成……なんだけど、何処で冷やそう。
冷蔵庫に入れなくても外に出しておけば勝手に冷えるけどもさ、マイナス何度の世界に放っておいたら凍っちゃうよ。

 とりあえず土間の出入口付近に埃が入らないようにと布で蓋をして置いておく。
ムースはとりあえずアレで良いとして、問題はローストチキンだ。

 「その肉、どうすんだ?」

 「本当なら焼いてじっくり中まで火を通すんですけど……どうしましょう」

 オーブンなんか無いし、どうしたもんかなぁ……。

 「景継様、囲炉裏で焼くのは如何でしょう」

 そうか、その手があったか。……でも、囲炉裏なんかあったっけ?

 「囲炉裏って何処に?」

 「城の裏手に今は使われていない小屋があります。
そちらに囲炉裏があって、そこならばしっかりと焼けるのではないでしょうか」

 なるほどねぇ……というか、城の裏手にそんなもんがあったんだ。結構それなりにいるつもりだけど、全然知らなかったわ。
……って、ちょっと待ってよ。そこでじっくり焼いてこっちまで持って来たら凍っちゃうよ。
夏場とかならいいけど、流石に温める術がないんだから悪いけど却下かなぁ。

 仕方が無い、あまりやりたい手ではないけども。

 「小十郎ー、その小麦粉作るの中断していいや。これから外に出て、私の言うとおりに肉焼いて来て」

 「は!?」

 マイナス何度の極寒の地で肉を焼いて来いなんて無謀だとは思ったけど、まさか侍女に頼むわけにはいかないでしょー。
女の子にそんなことさせるなんて、出来ない出来ない。つか、そういうことは男がやるべきだって。

 反論しようとする小十郎を外に追い出して、指示した通りに肉が焼けるまで入ってくるなと追い出しておく。
小十郎が泣きたそうな顔してたけどこれも無邪気な政宗様の願いを叶える為だから仕方が無い。

 「お前だけだよなぁ、小十郎を粗末な扱い方出来るのって」

 「大丈夫、小十郎も私にそんな扱いされて喜んでますから」

 「……俺、お前の弟にだけはなりたくねぇなぁ」

 ちょっと政宗様、どういう意味ですか。ああ見えてちゃんと小十郎のこと可愛がってるんですから。
小十郎が哀れな弟みたいな目で見てやらないで下さいよう。

 と、こんなことをのんびり話してる場合じゃなかった。
小麦粉が出来上がってないからとにかくどうにかしないと、パンケーキが焼けない。
小十郎に代わって碾き臼の前に立つ私に、政宗様が心配そうに声をかけてくる。

 「おいおい、大丈夫なのか? それって結構重いもんだろ? 女が挽くのは結
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