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竜のもうひとつの瞳
第二話
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 なんて指示を出して侍女を動かしていくけど、正直に言うと上手くいくかどうかは全く自信が無い。
だって私もローストチキンなんて焼いたこと無いもん。
オーブンも無いからどうにか工夫して焼かなきゃならないしさ、流石にこの時期外に出て
火を使ってじっくり焼くとか出来ないし、んなことやってたらこっちが凍死しちゃう。

 とりあえず政宗様が家臣に運ばせてきた大量の牛乳やら砂糖やらを見て、
私の顔が引き攣ったのは言うまでもなく、肉の準備が済んで戻って来た小十郎も一体何事かと驚いていた。

 確かにあるだけ持って来いとは言ったけど……樽何個分ってレベルであるとは思わなかったよ。
ちょっとナメてました、伊達家のこと。

 「で、どうすんだ?」

 「……いや、こんなに沢山はいらなかったんですけど……まぁ、いいや。政宗様、お手伝いして下さいますか?」

 「Yes!」

 物珍しいことにはすぐに興味を示す政宗様を横目に、さてとりあえずどうしたものかと考える。
流石に小麦粉は無かったみたいで、備蓄してあった麦を持って来たみたいなんだけど、流石にこのままでは使えない。
碾き臼を用意してもらって小十郎にそっと大量の麦を手渡した。

 「これ全部、製粉してきて」

 「は!? これ、全部でございますか!?」

 碾き臼なんかでちまちまやってたら、とんでもない時間がかかる。
それを分かった上で小十郎に指示を出してるわけだけど、そんな指示を出されて素っ頓狂な声を上げるのも無理は無い。

 「あんまり荒いと意味が無いから、出来るだけ細かくね。時間ないからさっさと動く!」

 そんな殺生な、と言いたそうな小十郎を追い出して製粉作業に取り掛かってもらう。
私はというと、醤油とはちみつ、少量の酒と油で味付けをしたタレを野菜に染み込ませて味付けをし、
それを詰め込む作業を政宗様と侍女に任せている。
この様子を家臣達が見ていたが、一体何が出来るのかと興味深そうでもある。

 さて、ここで私がすることは……。

 柿の皮を全部剥いて種を取り出し、一つの桶に入れる。本当はミキサーを使って攪拌するんだけどそんなものはない。
ってなわけで、手作業でやらなきゃいけないわけだ。けど、そんなこと面倒だからやってられないっしょ?
なので……

 「ほわたぁあああ!」

 変な掛け声と共に重力の力を使って桶の中に入れた柿を高速回転させる。
多分、風とかの婆娑羅者の方が上手くやってくれるような気がするけど、
そんなこと言っても都合良くいないからこっちで何とかするしかない。
みるみるうちに砕けていくそれを侍女達が感心した様子で見ていたが、コレかなりの集中力を要するから構ってる余裕がないのよね。

 ってなわけで十数分この
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