番外編2〜奥州のクリスマス〜
第一話
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分からねぇ奴の誕生日を祝わなきゃならねぇんだ、そんなことを言う辺り、
どうやら思いつきで開かれるクリスマスパーティは無くなりそうな気がする。
政宗様の妙な思い付きを実行しなくて済んだ、そんな表情をちらりと見せた小十郎が
また政宗様に頬を引っ張られてお仕置きされているが、そんな隙を見せるあの子が悪いってことで放っておくことにする。
小十郎が私に助けを求めるようにして見ていたけれど、軽く無視を決め込んだ。
しかしクリスマス、かぁ……。
十二月二十五日はキリストの誕生日だけど、私の誕生日でもある。いや、生まれ変わる前のね。
今は一体いつ生まれたのか私も知らなくて、確か秋頃だったような、って記憶しかない。
実家の庭にはらはらと舞い散る紅葉が赤く色付いて綺麗だった記憶があるから、冬が近い秋頃だったのかもしれないね。
政宗様じゃないけど、誰かの誕生日を祝うってのは結構苦痛なんだよね。
苦痛じゃないのは自分が生まれた日を祝福してくれる人だけでさ、私はそういうお祝いをしてもらえなかったから……
妹の誕生日を祝うのは本当に苦痛なだけだった。
今はそういうのを祝うって風習がないから随分と楽だし、
数え年で年齢を計算してるから誕生日がそれほど重視されなくて私も気が楽だったりする。
でもまぁ、政宗様はそういうのを結構大事にする人だから、自分の誕生日を祝えと言うのが何ともねぇ。
「そういや、景継。お前の誕生日はいつなんだ。小十郎は覚えてねぇって言うし、お前はどうだ?」
私の誕生日、かぁ……。私も自分の誕生日を覚えてるわけじゃないんだけど……。
「十二月二十五日、ですかね」
ぽつりと言ったそれに、小十郎が酷く驚いている。本当は違うんだけど、まぁ、昔の私と揃えちゃってもいいだろう。
誰かが覚えてるってわけでもないし。姉だって正確な日にちは覚えていないわけだしさ。
こんなことを言った私に、政宗様がにやりと笑う。何だかこれはまた良からぬことを考えてるぞ?
なんて思っていたところで、政宗様が自分の太腿を叩いて立ち上がる。
「よし、X'mas partyを開くぞ!」
「え、ちょ、ちょっと待って下さいよ! 今、誰だか分からない奴の誕生日を祝うのは嫌だって言ったじゃないですか!」
それがどうしてクリスマスパーティを開くってなっちゃうわけ? おかしいでしょ、どう考えても矛盾してるじゃないのよ。
「誰だか分からない奴のbirthdayを祝うつもりはねぇ。が、お前と小十郎のbirthdayなら祝う価値があんだろ」
なんて無邪気に言って早速partyの準備だと出て行く政宗様に、私達は揃って唖然としていた。
子供の行動力っていうのは本当についていけないもんだけど……
いや
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