暁 〜小説投稿サイト〜
竜のもうひとつの瞳
番外編2〜奥州のクリスマス〜
第一話
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 年越しを間近に控えた頃、政宗様が突然クリスマスパーティをやりたいと言い出した。
クリスマスなんてとっくに終わってるし、明後日は大晦日で年越しの宴とか正月の用意とか
そういうのの準備に忙しいってのに、そんなことをやってる暇などあるわけがない。
そもそもクリスマスってのが何なのか知らないくせに、どうして今年になってそんなことを言い出したのか訳が分からない。

 「政宗様、その“くりすます”とやらは一体何なのですか」

 当然そんなことを知らない小十郎は、また政宗様が妙なことを言い始めたよ、って顔をしてクリスマスについて聞いている。
そんな小十郎の右頬を思いきり引っ張って、政宗様が何処から調達してきたのか分からない書を私に見せていた。

 「X'masってのはな、異国の祭りだ。
鶏を丸ごと焼いたものとか、ケーキとかいう南蛮の菓子を食ったりしてな、皆で楽しく過ごすんだとよ」

 まぁ、あながち間違っちゃいないけど……っていうか、この書物何処が出版してんのよ。
前半は何となく現代のクリスマスの過ごし方っぽいこと書いてあるけど、
後半はクリスマスに行くスポットとしてかなり胡散臭い場所ばっかり書いてあるもん。
無駄に金かけてるのが分かる教会の写真とかあるけど、センスが悪すぎる。
どっかのカルト教が出版してるのが丸分かりで嫌になってくるなぁ……。

 とりあえず政宗様がここまでの知識で止めておいて貰わないと、とんでもないことをやらかしそうな気がしてならない。
最近南蛮がお気に入りだから、正しい知識を与えないとおかしな方向に走ってっちゃうよ、この人。

 「それで、そのクリスマスというのはいつなのですか」

 ようやく政宗様から手を離してもらえた小十郎が、右頬を押さえて涙目になりながらそう訪ねている。
正しい知識を得ているのならば、この時期にやろうなんてまず言わないはずなんだけど……。

 「I don't know. まぁ、冬にやると書いてあったから、いつでも別に問題はねぇだろ」

 ……やっぱり分かってないのね。っていうか、面白そうな行事があると思って提案してたわけかい。
政宗様らしいっちゃらしいけど……そんな思いつきに振り回されるこっちの身にもなってもらいたいもんだ。

 「政宗様、クリスマスはもうとっくに終わってますよ」

 「Ah?」

 「クリスマスは十二月二十五日に行われるもので、これは異国の宗教の御祭りなんです。
その宗教の教祖の誕生日を祝うもので、これを信じてる人はその日は教会に行ったりして厳かに過ごします。
だから、飲めや歌えやの宴会騒ぎをする祭りじゃないんですよ」

 一応そう説明してあげると、政宗様は何だか途端に興味を失ったように静かになってしまった。
何で何処の誰かも
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