第二十一話 梅雨が近付いてその十三
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「まさにね」
「それでなのね」
「そう、ああしてね」
「お顔に出て」
「お母さんが今言ってる人もよ」
「人相悪いのね」
「何しろ性悪の子供がそのまま歳を取った」
そうしたというのだ。
「碌でもない人だからね」
「それで人相も悪くて」
「皆から嫌われていてね」
「お母さんも反面教師にしてるのね」
「そうよ、そんな人が幸せな筈ないわね」
「やっぱりね」
咲も答えた。
「どう考えても」
「だからね」
「私もなのね」
「身体も服もお部屋も奇麗にして」
「それで何よりも心を」
「そうしていってね、もててね」
清潔にしてというのだ。
「それでよ」
「心を奇麗にして幸せになる」
「そうなる様にしてね、本当に幸せになろうとしたら努力よ」
「自分で心を奇麗にするのね」
「そうよ、幸せは訪れたり拾うものでもあるけれど」
「自分で努力してなのね」
「手に入れるものよ、というか自分から動かないと」
さもないと、というのだ。
「幸せも拾えないでしょ」
「何をしても手に入らないわね」
「木の根っこに当たって気絶した兎を捕まえるにしても」
今度は歌から話した。
「自分で兎を手に取って根っこの傍に行かないと駄目でしょ」
「そうよね」
「だから最低限でもね」
それでもというのだ。
「動かないとよ」
「幸せは手に入らないの」
「そして努力すればするだけね」
「幸せは手に入るの」
「何もしないなら」
それならというのだ。
「全くね」
「何も手に入らないのね」
「そうしたものよ、だからあんたもね」
「努力することね」
「そうよ」
娘に強い声で告げた。
「幸せになりたいなら」
「努力することね」
「そのことは覚えておいてね」
「幸せになりたいなら努力することね」
「そうよ、そして努力したらね」
そうすればというのだ。
「幸せになれるのよ」
「そういうことなのね」
「お母さんもあんたに幸せになって欲しいから」
そう願っているからだというのだ。
「いいわね」
「努力することね」
「何でもね、ただね」
こう言うのだった。
「言うまでもなくいいことによ」
「そのことについてなの」
「努力してね、悪いことにはね」
「努力しないことね」
「そうしたことは避けて」
そうしてというのだ。
「いいことにね」
「努力して」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「幸せになってね」
「そうなる様にするわね」
留奈も頷いた、そうしてだった。
母の言葉を覚えておくことにした、彼女もまた幸せについて思いそのうえでこれから生きていこうと思ったのだった。
第二十一話 完
2022・1・
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