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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第十話 何気に水銀並の術式使います
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しようもない。直撃を受けたら魂まで蒸発する。受けるわけにも、避けるわけにもいかない。
もし躱してしまえばこの病院が消え去る。そのとき香純は―――ちくしょう、そんなことさせるか!!
「いいぞ、足掻け、私の砲から逃れられた者は一人もおらんが、試してみるがいい。あるいは。これを凌げるかが分水嶺だ。行くぞ」
「―――跳べッ!!」
奴の魔砲を病院を狙わせないために屋上の高さまで一気に跳ぶ。後は俺が―――
「見事、英雄的だな。だが愚かだ。その上、真っ向勝負か、面白い」
空中で回避不能の狙い撃ち。この一撃を耐えるか、或いは―――断つ!防御など出来ない。これをまともに受けて無事にいられるわけが無い。だから、全身全霊、全力で、乾坤一擲の覚悟と共にこの砲撃を断ち切ってみせる!!
そして、轟砲一閃。放たれた大火砲は俺の視界を真紅に染めながら迫る。
「おおおおォォッ―――!!」
走るギロチン。俺はマリィを信じてる。何よりも信じてる。彼女の希望を叶えたい。彼女も含めて、あの時の日常を再び。だから、生きろ!―――俺は死ねない!!死んでたまるか、俺は勝つ!!
******
彼女、エレオノーレ・フォン・ヴィッテンブルグの火砲は防がれた。目の前で英雄的行動を取った彼はまさに英雄そのものの働きをしたことだろう。
「……ふむ」
目を細めて笑う。自らの砲を断たれたことに憤りはない。むしろ芯から賞賛していた。
「私が万全であったなら……などと言うのは侮辱だな。見せてもらったぞ、すばらしい意気だ」
スワスチカの数が四つしか開いていない以上、今の彼女は万全ではなかった。しかし、それでも彼女は戯れるような性質でもない。つまり、彼女は自ら上限を定め、その枠内での手加減は一切していない。つまりはこの戦いの勝者は明らかで、彼女は勝者の名誉を汚す言動は無粋だと弁えた。
「しかし困った。これで一つ主命を果たしたが、もう一つの任務は依然果たしていない。貴様がその様では結果を盗んだようで心苦しいではないか」
第五のスワスチカの開放。病院に存在する魂を捧げること。それを防ぐために奮闘していた少年は今にも倒れそうにしている。焼け爛れた右腕を左手で押さえながらふらつく脚で立ち、霞む視界の中しっかりと自分に目を向ける。
「男の意地には応えてやる主義なのだがね。貴様にとってこの地を失うのは敗北だろう。先の一戦は貴様の勝利、ならば二戦目も尋常にいきたいな。私にとって、勝利は盗み取るものではない」
客観的に見れば無理だといえることだ。だが、そんな些細なことで諦められると言うならそれはそこまでの人間だと言うことだ。真にハイドリヒ卿に尋常なる戦いを挑むと言うなら常識を超え、無から振り絞れねばならない。圧倒的な状況から
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