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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第十話 何気に水銀並の術式使います
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ラ)ならば骨も残らんと思え」

灼熱の化身。格が違う。次元が違う。こいつもラインハルトと全く同じ、この世界に在るべきではない地獄の住人そのものだと。俺はこいつに勝てるのか?ちくしょう、まるで勝機が見当たらない。

「マリィ……」

「……ふん、動くなと言ったはずだが相変わらず人の話を聞かん女だ。まあよい。
立て小娘。行動を許可する。ここまで上がってくるがいい。何やら雌犬が意見具申をしたいようだが奴の戯言など聞く耳持たん。貴様が相手をしておけよ。私は任務を果たさねばならん」

「……は」

そうして屋上に向かう櫻井。今の発言はおそらくシスターに対してなのだろう。そして、

「さて、貴様には参れと言ったはずだがな、小僧。だと言うのにどうした、来んのか。そうしていても活路は無いと、分かっているはずだ。これは貴様の距離ではあるまい」

分かっている。俺の間合いはこの右手のギロチン、対してあいつは射手―――つまりは狙撃手ないし砲撃手だ。迂闊に間を詰めようものなら、間違いなく狙い撃ちにされるだろう。
そもそも位置が悪すぎる。あいつは屋上でその距離は二十メートル以上。ジャンプで届く距離ではないし、届いたとしてもやはり格好の的になる。院内にも逃げ込めない。屋内戦でもしようものなら、何人巻き添えで死なせてしまうか分からない。それに第一、あの火力ならそもそも屋内にいたとしても意味を成さないだろう。
つまり、最初から詰んでいる。遠距離攻撃を主とする奴に、頭上の利を取られた時点でもはや打つ手が何も無い。くそ、くそくそ―――どうする、一体どうしたらいい?

「打つ手なしか。余り落胆させるなよ」

赤騎士は絨毯爆破のような砲弾を打ち続けながらそう言う。これでもおそらく手を抜いている。何故ならあいつの攻撃は今の所、下からしか来ていない。次は横からか、上からか、それとも真正面から放つのか。

「貴様その様で、ハイドリヒ卿に愚戦を舞わせる気なら死ぬがいい。鍛え直せとは言われたが、殺すなとも言われておらん」

不意に下から噴き上がるだけだった火柱が、横から襲い掛かる。それも何も無い空間で唐突に囲い込むように四方から同時に噴出する。
躱すには跳ぶしかない。しかし、そんなことをすれば目に見えて無防備になる。それを許すわけにはいかない。

「殺らせて、たまるか―――!!」

無防備に撃たれるよりも四方の内、一方を抜けるほうが遥かにマシだと判断した俺は一気に走り抜ける。

「ぐ……」

「ほう、よく耐えたな。上に躱さんかったことは誉めてやる。では、これならどうかな」

見上げるとSのような字の形をした炎が前方に集まり、今までとは比較にならない熱量が、そこに凝縮しているのを感じ取った。駄目だ、駄目だ、あれは駄目だ。あれを受けたらどう
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