暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第110話:墜ちる魔弓
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クリスのイチイバルには及ばないが、激しい弾幕に2人は体勢を立て直す為にも後退を余儀なくされた。下がりつつ、タイミングを見計らっては取り合えず目に見えている敵であるレイアに向けクリスが反撃の射撃を行う。

 2人の苦戦は本部の方にも届く事になる。

『何があったのクリスちゃん、透君!』
「敵だ! 敵の襲撃だ! そっちはどうなってる!?」

 応戦しつつあおいからの通信にクリスが答える。戦いながらの応答にクリスは僅かながら集中力を削がれ、周辺への警戒が疎かになる。

「危ない!?」

 その時何処からか危険を知らせる言葉が2人に届いた。クリスがその声に気を取られた瞬間、一発の魔法の矢がクリスに向け飛んだ。それに気付いた透がカリヴァイオリンで矢を弾いた瞬間、彼は声の主が何に対して警告したのかに気付いた。

 何と2人に向け、数隻のクルーザーが飛来してきていたのだ。

「何の冗談だぁ!?」

 それに気付いたクリスの口から悲鳴に近い声が上がる。このままでは2人纏めてペシャンコだ。

 そんなの御免だと言わんばかりに、透は右手の指輪を取り換え魔法を発動した。

〈グラビティ―、ナーウ〉

 落下してくるクルーザーを、透の重力魔法が受け止める。落下してきていたクルーザー達が空中で制止し、潰される事は回避したと安堵の溜め息を吐きそうになった。

 だが直後、そのクルーザーに魔法の矢が何発も命中した。

「ッ!? 透!!」

 次に何が起こるかを即座に察したクリスが声を掛けると同時、透も魔法を切りクリスを抱えてその場を離れた。クルーザーが空中で爆発するのと、クリスを抱えた透がその場を離れたのはほとんど同時であった。

「うわぁぁぁぁぁっ!?」

 燃料に引火し、クルーザーが纏めて爆発する。その激しい爆風に2人は吹き飛ばされ、周囲は一面火の海になった。

 その光景をレイアは静かに見つめている。

「……私に地味は似合わない。だけど、これは少し派手過ぎる。後は私が地味にやる」

 レイアは離れた所に見える海に向けてそう告げた。そこには巨大な何かが、両手に一隻ずつクルーザーを持っているのが見えた。巨大な何かはレイアの言葉を聞いたからか、投げようと持っていたクルーザーを手放してその姿を消した。
 その光景を見て、レイアは1つ息を吐くような仕草をすると、鋭い視線を自身の背後に向けた。

「さて…………目的を聞こうか?」

 振り向いたレイアの視線の先。そこには、紫色の仮面をしたメイジが1人佇んでいた。

 一方、吹き飛ばされた透とクリスの2人はとりあえず無事だった。クリスは透が盾になってくれたから爆風の影響を殆ど受けなかったし、透自身もメイジの鎧のおかげでダメージは全くと言って良いほどなかっ
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