第63話 【別視点】前線の宙(そら) その1
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壊行為しかしない。植民者が送り込まれてくるどころか、補給部隊の遅れすらあった。軌道砲や防衛衛星の配備など申請してもなしのつぶて。敵が来たらひとたまりもない。
そして現実はその時の予想通りになった。防衛艦隊は侵攻してきた叛乱軍によって半日と経たずに壊滅。惑星は叛乱軍の艦隊によって厳重に封鎖され、これ見よがしに行われる都市周辺への集中爆撃、それに各都市の中継点に偵察と思しき地上戦力も送り込まれてきている。地上戦力は基幹都市ごとに分かれているが、この時ばかりは中央都市に指揮官達が集まり、例によって罵り合って物別れに終わっていた。
それが今日。五月七日になって、救援要請に対する返信が届いたことで、再び指揮官達が中央都市に集まることになった。
「遅いぞ、レッペンシュテット准将」
各都市の陸戦指揮官および三人の統括官、今会議室に入った私を含めて六人の一応の先任者である中央都市統括官のシェーニンゲン子爵少将待遇統括官が私を叱責する。他の都市から飛行機で来ている四人より遅いというのは、恐らくは統括官の意図があって連絡を後らしたのだろう。二〇代の子供のような相手の児戯に怒っても仕方がない。私は無言で頭を下げてから席に座ると、子爵は他の四人に向かって言った。
「宇宙艦隊司令部から救援を送ってくれることになった。未だ文章による一方的な通告ではあるが、一〇〇〇隻程度の部隊を送り込んでくれる」
「たった一〇〇〇隻ですと? 一万隻の間違いではないのか?」
「一〇〇〇隻だ。昔日ドイゼルバッハ少将の艦隊が壊滅してくれたおかげで、それ以上の戦力は送れないらしい」
そう答えたのは東部都市の統括官であるハイデンブルク子爵。リッテンハイム候爵の遠縁と自称しているが、本当のところは与力の一人というところ。ブラウンシュバイク公爵派のシェーニンゲン子爵と爵位では同じなだけに、とかく対立気性がある。そこまで理解していれば私としては問題ない。ちなみにドイゼルバッハ少将はリッテンハイム候派だ。
「だが一〇〇〇隻ではこの惑星を包囲する忌々しい叛乱軍共を蹴散らすことすらできないのではないか?」
ある意味正しい指摘、それ以外ない常識を披露したのはミュルハイム男爵。もう一つの都市の統括官で、ブラウンシュバイク公爵派。一応、シェーニンゲン子爵との仲は悪くない。だが悪くないだけであって、同じ青年貴族であるから、ライバル心もある。
「確かに卿の言う通りだが、私はここにいる者だけに伝えなければいけない事実もある」
「ほう……実は一万隻以上の艦隊が救援してくるというのかな?」
「イゼルローン要塞が、叛乱軍によって攻撃されているのだ」
「なんだと!」
音を立ててハイデンブルク子爵は立ち上がった。それが意味することを、正確に理解できるだけの頭が子爵に
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