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イベリス
第五十一話 水着その一
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                第五十一話  水着
 速水は店で咲を占って話した。
「星の正、素晴らしい大きなことがです」
「起こりますか」
「はい、何かです」
 こう咲に言うのだった。
「そうしたことが小山さんに起こるので」
「だからですか」
「今はこのままです」
「いけばいいですね」
「そう思います、何をされるおつもりでしょうか」
「ええと、従姉のお姉ちゃんと水着を買いに行こうかって」
 咲は速水に正直に答えた。
「その様にです」
「お考えですか」
「はい」
 そうだというのだ。
「実は」
「そちらですね」
 それならとだ、速水は答えた。
「それでは」
「やっぱりそうですか」
「はい、ではそちらのことは」
 即ち水着のことはというのだ。
「そのままです」
「やっていけばいいですか」
「占いにはそう出ています」
「わかりました」
 咲は速水のその言葉に頷き述べた。
「それではです」
「そのままですね」
「いきます、けれどお姉ちゃんと水着を買うだけで」
 それだけなのにとだ、咲は首を傾げさせて言った。
「星の正ですか」
「左様です」
「大きなカードですね」
「極めて良い兆候を示すカードですね」
「そうですよね」
「しかもこれは」
 速水は口元と右目を微笑まさせて咲に答えた、相変わらず左目は髪の毛に隠れて見えないがその二つで充分だった。
「思わぬまでにです」
「私がですね」
「はい、そこまで大きな」
 そうしたというのだ。
「兆候がです」
「見えるんですね」
「左様です」
「そうですか、いいことですよね」  
 咲は速水にこのことを確認した。
「大きいことって」
「そうです、あと運命を変えることでもないです」
「そこまで大きなことではないですか」
「若しそうであったなら運命の輪が出ていました」
 そのカードがというのだ。
「ですからそうしたものではありません」
「そのうえでいいことですね」
「そうです、ですから」
 速水は咲に微笑んだまま話した。
「安心してです」
「そうしてですか」
「過ごされて下さい、水着もです」
「買えばいいですね」
「お気に召したものを」
「ではそうしますね」
「その様に」 
 速水は咲にこの時も微笑んでいた、彼のその笑顔を見つつだった。
 咲はこの日のアルバイトを特に異変なく楽しんだ、そうしてだった。
 そのうえで愛と水着を買う時になって彼女と新宿駅前の百貨店に行ったがそこで何とだった。
 クラスメイトの女子四人連れと会った、彼女達は咲を見て言った。
「あれっ、咲っち?」
「咲っちもここに来たの」
「ひょっとして水着買うの?」
「それで来たの」
「そうなの、従姉のお姉ちゃんと一緒にね」
 
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