第七話
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だ。
というか、それ以前に関東を抜ける段階で何処かの軍に絡まれる可能性だってある。
何よりそんなことになればこちらに気付かれる可能性だって高くなる。
ということは、強力なバックアップが背後にいる、と考えて良いだろう。
それも、情報操作が出来るほどの力を持った近隣国だ。
確かめるまでもないとは思うけど、おそらく羽州は織田と手を結んだ、と考えて間違いない。
あの小物のやることだ、多少脅されればホイホイ力の強い方に靡くだろう。
案外、奥州を落としたらその管理を任せるとか言われてるのかもしれないわね。
先代の頃からあの狐は奥州欲しがってたしさぁ。
「当たり?」
一応確認を取ってみるけど、二人は何も答えない。
まぁ、二人の素性が明らかになった以上はどう答えてもあんまり意味無いけどね。
どうせ忍を放って調べさせるだけだから。
しかし……あの蘭丸って子はともかくとして、信長の嫁さんを殺すのは得策とは言えない。
寧ろ生かして捕らえて捕虜にした方が余程使い道がある。なら、当初の予定通り生け捕りにする方向で。
「だんまりか〜……ま、いいけどね。濃姫さん、悪いけど捕らえさせてもらうわね。
あとそっちの子、生きるか死ぬか、選択肢はあげるから好きな方選んで。
生きたかったら黙ってそのまま立ってなさい。死にたかったらご自由に」
「馬鹿にしやがって!! もう、許さないぞ!!」
あらあら、子供は短気で扱いやすい。
弓を引き絞った蘭丸に私は笑って私の前にふわふわ浮いている銃弾のひとつを投げつけてあげた。
それが思いきり蘭丸の肩を貫いて、雪の上に血が飛ぶ。
「うわああああ!!」
「蘭丸君!? くっ……畜生!!」
蘭丸を気遣いながら銃弾を撃つ濃姫は玉切れになるまで必死に撃ってくる。
が、当然重力の盾に阻まれて私にまでそれが届くことはない。
こちとら土石流止めてるんだ、そんなもん受け止めるのくらいわけないっての。
「大人しく投降なさい。こっちはそっちと違って鬼じゃないからね。降参した人間に刀は向けない。
……その子、放っておくと死ぬんじゃないの?」
肩を抑えて蹲っている蘭丸の肩からはかなりの出血がある。
一応急所は外しておいたけど、早く治療をしないと死んじゃうかもしれないわねぇ。
まぁ、利用価値がないからどっちでも良いんだけどもさ。
「誰がお前なんかに!! 捕虜になるくらいならば、死んでやる!!」
銃口を自分の頭に突きつけて引き金を引こうとした濃姫の腕を重力の力で動かして、軽く軌道を逸らせてみる。
頭をぶち抜くことが出来ずに弾丸は空へと飛んでいく。
重力で軽く宙に浮かせて身動きを封じた後、私は思いきり濃姫の鳩尾に拳を突き立てた。
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