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冥王来訪
第二部 1978年
ソ連の長い手
ミンスクハイヴ攻略 その2
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ュミット保安少将はソ連との核密約を通じて、ソ連を引き込もうとしていた。
当人は核弾道弾で、ソ連をコントロールできると考えていたが、甘かった。
ソ連を引き込むと言う事は、ロシア人に全てを握られ、奴隷の暮らしに身を(やつ)すことを意味する」
タバコを、灰皿に押し付ける
「我が国の産業構造上、石油、天然ガス、鉄鉱石、食料品……、あらゆる物資をソ連圏に依存してきた。
1973年のBETA飛来以後も、根本的な問題は解決していない」
彼女は、顔を上げる
「それに関しては私も長らく疑問には思っていました。
本当に西側社会に民主共和国を引き入れても、その構造を変えない限り、無理ではないかと……。
今のソ連圏への資源依存体制の維持、それはそれとして余りにも危殆(きたい)が高すぎますので」
彼は、彼女の顔を見つめながら続けた
「方策は無いわけではない……、例えば、最新型の軽水炉型原子力発電所。
数基作れば電力事情は劇的に改善出来よう。
だが、それ以上は既に政治の問題だ」
 そう話していると、ドアをノックする音が聞こえる
「入り給え」
入室を許可し、ハイゼンベルク少尉にドアを開けさせる
勤務服姿の軍曹が敬礼し、呼びかける
「同志将軍、参謀総長がお呼びです」
返礼すると、立ち上がって軍帽を掴む
「直ぐに向かう」
部屋を後にする軍曹を、見送りながら告げた
「同志ハイゼンベルク、着替えを用意してやったら車を手配しなさい。
適当な時間で返してやりなさい」
右手で、軍帽を被りながら答える
「電話をお貸しいただければ、迎えの物を呼びますから、そこまでの手数は結構です」
 彼女はブレーメ家付の護衛を呼ぶつもりであった
幼い頃より、彼女の身辺警護をしていたヨハン・デュルク
彼もまた若い頃、国家人民軍に籍を置いた身であり、第40降下猟兵大隊で勤務した
特殊部隊の狙撃手として、名を馳せた彼ならば、迎えに来させても揉め事にはならぬであろう
その様に考えていたのだ

「では、夫君(ふくん)に宜しく頼むと言伝(ことづて)して置いてくれ」
そう言うと、部屋を後にした


 一通り室内で、話を聞いていたシュトラハヴィッツは呆れ果てていた
愛する夫の為とは言え、参謀本部に乗り込むとは……
士官学校主席の地位を入学以来保っているとは聞くが、些か常識外れではないか
「なあ、このじゃじゃ馬、何処の部署が面倒見るんだ……。
第一戦車軍団(うち)では見切れんぞ」
彼は、額に右手を添えた
「下手に頭が良いからなあ、参謀本部で庶務か、通信課にでも放り込むしか有るまい」
紫煙を燻らせながら、男の問いに答える
「既婚者だから、正直扱いに困るだろう。一層(いっそ)の事、ハンニバルの情婦に投げるか」
参謀本部(こっち)で雑務をやってるが、確
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