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竜のもうひとつの瞳
第五話
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定しねぇってところに天災が重なって、これを好機と見た輩がいるんじゃねぇのかと俺は思うんだ。
兵を率いて真っ向勝負をかけるより、まずは内部の民を煽って奥州内を混乱に落とし入れ――――」

 「その隙に狙って叩く。政宗様、凄いじゃないですか! 珍しく冴えてますね!」

 「馬鹿野郎、俺はいつでも冴えてるんだよ!! 今日が特別みたいな言い方するんじゃねぇ!!」

 だって、政宗様って難しいことはいっつも小十郎に任せきりってイメージがあるんだもん。
そういうのは小十郎が大抵気付いて行動を起こして、ってやるもんだとばかり思ってたし。

 けど、珍しく今回は小十郎がそっちに気が回らなかったようで、今初めて気が付いた、ってな顔をしている。
考えてみれば小十郎にとっちゃ、双子だって言われて迫害されたのがトラウマになってるわけだから仕方が無いのかもしれないけど。

 「手は打ってるんですか?」

 「一応、黒脛巾組には調べるようにと指示は出してる。万が一城に攻め込まれても対応出来るように、成実も綱元も置いてきた。
まぁ、伊達三傑のうちの二人を置いて来てるんだ、俺らが戻るまではどうにかなんだろ」

 ほへ〜、政宗様が凄い。
いつもパーリィパーリィ言ってるだけかと思ってたら、頭良かったんだね、この人。
なんて口に出して言ったら小十郎に怒られるから言わないけどもさ。

 そんなことを考えてたら政宗様に軽く後頭部を叩かれてしまった。

 「ちょっと何するんですか!」

 「テメェ、俺のこと馬鹿だと思ってたんだろ!」

 「当たり前じゃないですか! いつも小十郎にキラーパスも含めてぶん投げるんですもん。
小十郎がいなけりゃ何も出来ないって、他の家臣達だって私と同じこと思ってますよ!」

 そう叫ぶと家臣達は揃って政宗様から目を逸らしていた。ほら、小十郎がいなけりゃ何にも出来ないと思われてるし。

 「おめぇら……帰ったら纏めて処罰するからな」

 「そういうのパワハラって言うんですよ、パワハラ!」

 とりあえず抗議をしておいたけれど、政宗様は完全にへそを曲げてしまった。

 まぁ、政宗様が実は頭が良かったってことはこの際置いといてだ。
確かに政宗様の言うことは核心を突いているように思うし、気になるところだ。

 「話を戻して……この状況で仕掛けてきたのは」

 「一番有り得るのが最上でしょう」

 羽州の最上家は政宗様の母方の伯父に当たる人物で、やることなすこと全てが小さい、結構ウザい人だ。
何がウザいって、あのオーバーなポーズがウザい。アレを見るたびに、流石政宗様の伯父だと思うんだけど、流石にそれは口が裂けても言えません。
まぁ、そんな人なんだけどその割にはかなりの善政を布いていて、領民
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