第2部
スー
目指せ大山脈
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
細くて小さいルカは、いつ強風で飛ばされてもおかしくない。なのに、私の手を取ることを躊躇っているようだった。
「いくらなんでも、この年で実の姉と手を繋ぐなんてあり得ねーだろ」
……反抗期なのだろうか。いや、こんな危険な状況の中、そんなことを言ってる場合ではないのだが。
「だったらユウリかジョナスとでも手を繋いでもらったら?」
少し突き放すようにそう言うと、ルカはふてくされた顔で、
「別に、アネキに心配されなくても、これくらいの風なんか大丈夫だよ!」
そう強気に言い放った。すると、前を歩くユウリがこちらを振り返った。
「おい鈍足。お前が前を歩け。お前の遅い足じゃ置いていくかもしれないからな」
「えっ!?」
突然最後尾の私を前に歩かせるユウリ。必死に歩みを進めるルカを見送った後、ユウリは私の耳元までやってきて、ぼそりと言い放ったのだ。
「俺がルカを見てるから、お前は先に行っててくれ」
そう言うと、私の返事も待たぬままユウリはルカの後ろを歩き始めた。彼が見ていてくれるのなら安心だろう。
その後、途中何度も魔物に遭遇したり、ルカが崖から落ちそうになったりとヒヤヒヤした場面もあったが、何とか日暮れまでに山を越えることが出来た。
だが、越える山はこれだけではなかった。目の前には再び標高の高い山が立ち並んでおり、とても一日や二日で踏破出来るような道程ではない。
結局その日は一つ目の山を越えた辺りで野宿をし、翌日には再び別の山を登ることに。そうしていくつかの山々を越えること五日あまり。ようやく最後の山を降りて視界が開けた途端、その喜びを奈落に突き落とすような光景が目の前に広がった。
「あれって、川……?」
行く手を阻むかのように視界の端から端まで伸びているのは、広大な河川だった。当然のことだが、川を渡るような橋は存在しておらず、まるでここで行き止まりだと言わんばかりの絶望感が襲いかかる。さらに辺りを見回しても、塔らしき建物は一向に見当たらなかった。
「はあ……、ジョナスの言うとおり、アープの塔ってとっても遠いんだね」
私は一人先頭を歩くジョナスの背中に向かって大きくため息をついた。
「ミオ、疲れたか? そろそろご飯、食べるか?」
「あ、いや、別にお腹空いた訳じゃ……」
「いや、ジョナスの言うとおり、今夜はここで休もう」
突然、ユウリが声を上げた。確かに今川を越えてしまえば、途中で暗くなってしまう時間帯だ。
「ちょうど目の前に川がある。その手前で今夜は野営しよう。ジョナス、あの川はどうやって越えるんだ?」
「あの川、見た目より浅い。一番浅い場所、あるからそこを通る」
「わかった。なら明日そこを渡るために道案内を頼む」
なるほど、川底の一番浅い場所があるから、そこを横断するわけだ。服が濡れるデメリット等は
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ