第二十一話 梅雨が近付いてその十一
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「ずっと覚えておくわね」
「お母さんもそうしてくれたら嬉しいわ」
母としてもだった。
「だからね」
「覚えておくわね」
「そうしてね、お母さんもあんたに幸せになって欲しいし」
「娘だから?」
「そうよ、自分の子供に幸せになって欲しいと思うのはね」
このことはというと。
「親として当然でしょ」
「当然の願いなの」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「あんたにも今言ってるのよ」
「そういうことね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「毒親になるとね」
「ああ、よく言われる」
「子供のことよりもね」
最も大事な筈のこのことよりもというのだ。
「自分が遊んだり好き勝手したい」
「それで育児放棄してなのね」
「遊びに出てばっかりになるのよ」
「パチンコばかり行ってとか」
「そうなるのよ、お母さんパチンコ嫌いだからね」
「お母さんギャンブルとかしないわね」
「パチンコばかりして煙草吸って子供ほったらかしにしてる人は嫌いよ」
娘にきっぱりと言い切った。
「駄目というかまさに餓鬼だってね」
「思ってるのね」
「そんな人を見て来たから言うのよ」
「実際に見てきたの」
「最低な人をね」
「それって育児放棄よね」
留奈も目を顰めさせて尋ねた。
「そうよね」
「そうよ、子育ては手抜きばかりでね」
「実質育児放棄だったのね」
「その人はね、それでちょっと遊び以外のことしたら不満たらたらだったのよ」
「それは酷いわね」
「中学の時にその人見てああはなるまいってね」
その様にというのだ。
「思ってね」
「今私とお兄ちゃん育ててるの」
「そうよ、皆から嫌われていた人だったのよ」
「それはね」
留奈もそれはわかった。
「そんな好き勝手で不満ばかり言う人なら」
「しかもヒステリー持っていてね」
「余計に嫌われるわね」
「だからそんな人にはね」
「なりたくないって思って」
「あんたもお兄ちゃんもよ」
即ち自分の子供達をというのだ。
「育てたつもりでお父さんともね」
「一緒にいるのね」
「その人夫婦仲も悪かったのよ」
そうだったというのだ。
「わかるでしょ」
「そんな人だとね」
「だからそうしたところもね」
「反面教師にしてるのね」
「そうしてるのよ」
まさにというのだ。
「私もその人嫌いだしね」
「お母さんもなのね」
「図々しくもあってね」
「そこも問題なのね」
「人が遠慮したらね」
「気を使って?」
「そうしたらその遠慮の分だけ入って来る」
そこに付け入ってというのだ。
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