第二十一話 梅雨が近付いてその八
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「清潔でもね」
「彼氏は出来ないかも知れないのね」
「しかも性格は男らしいわね」
「騎士ね」
留奈はオスカルの性格をこう表現した。
「まさに」
「そうした意味で男らしいでしょ」
「毅然としていて正々堂々としていて」
「生真面目でね」
「清廉潔白でね」
そうした性格だというのだ、オスカルは。
「もてる性格よね」
「女の人にね」
「女の人でもね」
「そうした人よ、ただね」
「ただ?」
「あの人いい時に死んだわ」
母はこうも言った。
「バスティーユの時に死んだでしょ」
「戦闘の中でね」
「しかも奇麗に死ねたわね」
「少女漫画の主人公らしくね」
「あの時にああした風に死ねてよかったわ」
そうだったというのだ。
「本当にね、あの革命後で酷いことになるでしょ」
「ジャコバン派が出て」
それでとだ、留奈も母に応えた。
「ギロチン政治になったわね」
「ロベスピエールが出てね」
「あの漫画にも出てるけれどね」
その時は誰もが彼が血塗られた独裁者になるとは思っていなかった、むしろ高潔で清廉潔白な人物として知られていた。
「あの人が権力握ってね」
「自分に逆らう人は殺していったのよね」
「片っ端からね」
「王様も王妃様もね」
「そのマリー=アントワネットもね」
その彼女もというのだ、作品のヒロインであったがだ。
「ギロチンにかけられたでしょ」
「あれ酷かったわね」
「あれが革命なのよ」
「もう誰でも処刑するのね」
「疑わしきはね」
「裁判があっても死刑前提よね」
「それでどんどんね」
文字通りに片っ端からであった。
「ギロチンにかけていってね」
「殺していったわね」
「ロベスピエールは自分の盟友も殺していったのよ」
同じジャコバン派の者達もである。
「そんな風だったからね」
「オスカルもなの」
「王妃の傍にいたでしょ」
「ギロチンにかけられた」
「しかも元々貴族でしょ」
「色々条件が揃ってるのね」
「おまけにオスカルがああした手当たり次第に人を殺すことなんて許す筈ないわね」
彼女のその気質のことも話した。
「絶対にこんなの革命じゃないとか民衆を殺すなとか言うでしょ」
「絶対に言うわね」
留奈の彼女の性格のことを考えて答えた。
「そうね」
「そしてロベスピエールが許すか」
「それも絶対よね」
「有り得ないわ、もう邪魔と思った相手は疑わしいもっと言えばね」
それこそというのだ。
「疑わしくなくても殺したのよ」
「確実にギロチン送りだったのね」
「亡命もしないわよ」
これもオスカルの性格である。
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