第二十一話 梅雨が近付いてその七
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「それでお顔も奇麗だけれど」
「お風呂に入ってなくて」
「不潔だったかも知れないわよ」
「そうだったのね」
「だからオスカルが今そのまま日本にいたら」
「もてたかどうかわからないの」
「お風呂に入っていればもてるわ」
つまり奇麗にしていればというのだ。
「その場合はね」
「そういうことね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「オスカルは清潔にしていたら」
母はこのことは憧れる顔で言った、まるで夢見る少女であった。
「絶対にもてるわよ、女性に」
「男の人からは?」
「どうかしらね」
「女の人だから男の人じゃないの」
「だってあの人一七八あるのよ」
母は娘に背の話をした。
「男の人でも高いでしょ」
「そうね、アメリカでもそれ位あったら」
「問題ないでしょ」
「アメリカ人だとね、ドイツとか北欧はもっと大きいけれど」
「ああした地域はまた別ね」
「ヒトラーも一七〇普通にあったって聞いてるわ」
「あの人結構長身だったのよ」
一七五だったという話もある、当時のドイツではむしろ背が高かったという。
「そうだったのよ」
「そうみたいね」
「そのヒトラーより高いのよ」
「オスカルは」
「当時の男の人大体一六〇よ」
それがフランスの成人男性の平均身長であった。
「ナポレオンは一六七か一六四よ」
「小さいって聞いても平均より上だったの」
「当時はね、それでオスカルはね」
「一七八だから」
「物凄く高かったのよ」
その背がだ。
「漫画でもかなり高いわよ」
「それで今でも」
「女の人で一七八っていないでしょ」
「全学科で一番大きな女の子がそれだけかしら」
「滅茶苦茶目立ってるでしょ」
「スウェーデンから来た娘で」
留奈はその娘の出身国のことも話した。
「それだけあるわ」
「そうなのね」
「あの娘位の大きさなのね、オスカル」
「その娘も女の子からもててるでしょ」
「ええ、けれど明るくてはきはきした娘で」
今度はその性格の話をした。
「その性格の方がね」
「人気なのね」
「そうなの、ただ男友達は多くても」
それでもというのだ。
「彼氏さんはね」
「いないのね」
「何でも大き過ぎて」
その背がというのだ。
「一緒にいたら自分が小さく見えるから」
「それでよね」
「皆お友達にはなっても」
男子もというのだ。
「けれどね」
「交際はでしょ」
「無理って言ってるわ」
「そういうことよ、だからオスカルもね」
彼女もというのだ。
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