第四話
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になった。それは事実なんだ」
「……怒りますよ、いくら姉上でも」
殺気立つ一歩手前、極殺が入る五歩手前くらいの、そんな感じでしっかり睨まれて私は大人しく口を閉ざした。
小十郎は何も知らないからそんな風に怒るけど、事実を知ったら……いや、知ってもこの子意外と馬鹿だから何も変わらないかも。
大柄の小十郎が、私の肩に身を屈めて顔を埋めてくる。
抱きつくわけでもなく抱きしめるわけでもなく、何処と無く甘えてくるようなその素振りが何とも言えなくなる。
「そのようなこと、仰らないで下さい。胸が痛みます」
アンタこそ、泣きそうな声で言わないでよ。こっちも胸が痛くなるから。
……全くもう、ちょっと元気付けてやらなきゃ駄目か? こりゃ。
「馬鹿だねぇ……大の男が泣くんじゃないっての。泣き虫は未だ健在?」
小さい頃の小十郎は何かあるとすぐ泣いてたのよね。
近所の子に苛められて泣いてたのをしょっちゅう助けに入ってたしさ。この子も私に縋ってよく泣いてたし。
まぁ、ある日を境に泣かなくなっちゃったんだけども、男の子だから成長したのかもしれないわね。
「なっ、泣いてなどおりませぬ! 泣いていたのは子供の頃の話でしょう。今は泣き虫ではございません」
私から離れてそんなことを言う小十郎は、ほんの少し顔を赤くして少しムキになってる。
何かそれが可愛くて、ぐっしゃぐしゃに頭を撫で回してあげる。
完全に髪が乱れて普段無理矢理上に上げて固めている前髪が落ちて、少し幼く見える。
「前髪下ろせばいいのに。そっちの方が実年齢より若く見えるよ?」
「動くのに邪魔になります。それに、前髪を上げていた方が……凄みが出るらしいので」
……おいおい、お前はヤクザになりたいのか。
ただでさえ強面で初対面の時は怖いって印象持たれがちなんだからさぁ、もう少し柔らかい印象持たせないと女だって寄り付かないっての。
もう結構いい歳してんだし、そろそろ嫁さん貰って子作りしてもらわないと。
まぁ、この馬鹿は次男だから別に構わない、とか、政宗様に仕えるのに邪魔になる、とか、
政宗様が嫁を貰わないのに自分が先に貰うのはうんたら〜……なんて言っちゃうんだろうけどもさ。
「アンタもそろそろ嫁さん見つけて結婚しなきゃならない歳なんだから、少しは女に好かれるように努力しなさいよ」
「う……こ、小十郎はそういう軟派なことは好みません! そういうことは若い頃に散々やったので卒業」
うっかり口を滑らせたとばかりにかなり気まずそうに口を押さえている。
へぇ〜? 若い頃は軟派だったんだ、小十郎は。へへぇ〜?
「ほほう、それはどういうことかね? 小十郎君」
「なっ、何故そこで最上の喋り方になるので
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