第三話
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眼差しで見られてしまった。
「そっか……姉ちゃんも兄ちゃんも、鬼の子なんだな。姉ちゃんも苦しい思いしてねぇだか?」
そう言ったいつきちゃんの頭を苦笑してくしゃくしゃと撫でる。
双子だとか三つ子だとか、そういうのはこの時代犬腹とか何とか言われて忌み嫌われる存在で、
大抵一緒に育てられることはないのよね。
片方は里子に出されるか殺されるか……大抵そんなもんなんだけど、私達は“神様”のお告げで二人引き離されることなく育ってる。
だから、どちらも手元に残されるのはかなりレアなケースだったりする。
鬼の子、と蔑まれたこの子だから忌まれる痛みが分かるのかもしれない。
けど……酷かったのは私よりも小十郎の方だからねぇ……。
「いつきちゃんが受け入れてもらえるように、私達も受け入れてもらえてるから大丈夫よ。
それに、髪の色が違うくらいで鬼なんて言う人は放っておけばいいのよ。
いつきちゃんの髪の色、私は好きだな。雪の色だものね」
「雪……それ、おっとうとおっかあにも言われただ」
おっと、しまった。うっかり地雷を踏んじまったか?
流石にちょっと慌てたけれど、いつきちゃんは笑って、おらも姉ちゃんのことは好きだ、と言ってくれた。
そのエンジェルスマイルが可愛くって思わずぎゅーっと抱きしめてしまうが、いつきちゃんも笑って抱き返してくれる。
とりあえず、いつきちゃんは元気が出て来たかな? まだまだ空元気だろうけど、笑えるようになってきたのなら大丈夫だろう。
この後村の作業を手伝って、ある程度復興の目処が立ったところで引き上げることにした。
ちなみに、いつきちゃんとの抱擁の様子をばっちり兵達に見られていて、後日景継様が幼女趣味だと噂を流され、
私を止めようと必死になって抑える小十郎を引き摺りながら刀を持って兵達を追い回したのは言うまでも無い。
全く……誰が幼女趣味だってんだ。可愛いものは愛でる、これは世界の常識でしょうが。
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