精神の奥底
77 Revenge or Avenge
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テラポリスの現状が知りたい」
「暁とサテラポリス?奴らの手を借りるの?」
「そうだ。今回ばかりは奴らを利用するしかない」
「ディーラーの人員を総動員すれば...」
「まず大前提としてインターネットがダウンしていようと、デンサンシティは世界的にはかなりの先進都市だ。総動員したら、絶対に証拠が残る」
「痕跡を最小限にするとなると、動員できる人数は自ずと絞られてくるってわけね」
「それに相当な人数をこの街で動かしていると知れれば、他が手薄だと思われる。Valkyrie以外の組織が他の地域で何か仕掛けてくる可能性も捨てきれない」
「そこまでディーラーの今後を考えてくれてるなんて、キングが泣いて喜ぶわ」
「今、ディーラーを潰すわけにはいかない」
彩斗にはディーラーが無ければ困る理由があった。
これまでは決してディーラーのやっていることに賛同しているわけではなかった。
数々の悪事を目の当たりにしてきたし、時には加担しているときもあっただろう。
だが、今回のことで学んだ。
ディーラーに限った話ではないが、世界規模な巨大な犯罪組織同士による、ある種のシマ争い存在するからこそ、均衡が保てている側面は少なからずあるのだと。
デンサンシティは世界的に主要な拠点となりうる為、あらゆる組織がしのぎを削るのは仕方がないにしても、それ以外の地域で組織同士の抗争が表立って起きないのは、暗黙の線引が存在しているのだ。
「僕には僕の目的がある。ディーラーの一員だからできることが、ディーラーだからできることがあるんだ」
彩斗はメリーとアイリスの方を見た。
メリーが今生きているのも、アイリスが消えずに済んだもの、間接的ではあるがディーラーの力、そしてディーラーが彩斗を生かしているからだ。
「兄さん...」
「彩斗くん、あなたはそんな人じゃないはず。ディーラーなんかに頼らなくても生きていけるはず」
「いや、悪事に加担するつもりもない。でも今は...必要なんだ」
そしてディーラーを含めた巨大な組織は必ず表と裏の顔を持っている。
裏の顔でどんな悪事を働いていようとも、表の顔で世界的な信用を得ている。
だが信頼を得るためには実績も必要だ。
恵まれない子供たちを支援しているふりや、環境保護を謳うだけで騙せる世の中ではない。
ディーラーが表向きはキング財団として、恵まれない多くの子供たちを支援し、養護施設や孤児院を世界中に作っているのは事実だ。
汚い大人たちを相手に商売を続けるにしても、何かきっかけができるまではディーラーの表も顔を生かしておく必要があるのだ。
「ハートレス。一度、状況を整理したい。ガレージの設備、使ってもいい?」
「もちろん。でもアイリスとメリーも関与させるの?」
「最初からそのつもりですけど?」
「私も」
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