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竜のもうひとつの瞳
第二話
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ないけど……普通なら死ぬっての。

 「……何とか、助かりましたな」

 女の子を支えていた小十郎の顔は真っ青で、胸を無意識的に押さえている。
多分痛みが強いんだろうと思うけど、私にも小十郎を支えてやれるだけの力は残ってなかった。

 へなへなとその場に座り込む私に、小十郎が心配そうに近づこうと歩きかけるものの、
小十郎も限界のようで女の子を下敷きにしてその場に倒れてしまった。

 「ちょっと、幼女を押し倒すの止めてくれる?」

 「馬鹿言わないで下さい……」

 そう言いながら必死に身体を動かして仰向けに転がった小十郎は、胸を押さえて小さく呻いている。

 「無茶しすぎ。それにあんな小さな子にあそこまでやらせるなんて……歩けそう?」

 「……無理ですな。小十郎も、あそこまでさせるつもりは……ぐっ……」

 「あー……分かった、分かった。無理して喋らなくていいから、少し休んでな。
多分この状況どっかから見てるだろうから、誰かしら迎えに来るだろうし」

 私も正直おなかが空いて動けそうにも無い。

 結局この後氷壁に土砂が阻まれた様子を見た兵達が迎えに来てくれて、私達を回収して高台へと運んでくれた。

 もう大丈夫だと思って戻ろうとする村人達に、アレはその場凌ぎだから崩れたら今度こそ飲み込まれるよ、と話をしておくと、
流石に一度土砂に飲み込まれそうになっただけあって今度は村がうんたらと聞き分けの無いことを言わずに従っていた。

 ……それにしても。

 ちらりと意識を失っている女の子に目を向ける。

 いくら小十郎のコントロールや天候を差し引いたとしても……
アレだけ強い力を持ってるなら、下手すれば村人からの扱いががらっと変わっちゃうかもしれないわね。
村を救った英雄だもの。この子は。

 神の子、なんて言われて変に扱われなきゃいいけれど。

 兵達が差し出してきた携帯食料を片っ端から食い荒らしながら、そんなことを考えていた。
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