第二話
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「氷だ!」
氷、か……風だったら土砂を退けるのを手伝ってもらいたかったんだけど……いや、待て。
「あの土砂、凍らせることが出来る?」
「おら、あんまりまだ難しいことは……」
「小十郎、サポートしてあげて!」
そう叫んだけれど、小十郎からの返事が無い。どうしたのかと思っていたところで、一瞬小十郎の頭が私の肩に触れる。
「兄ちゃん!?」
女の子の悲鳴のような声を聞いて、何となく予想が出来た。
オーバーヒート、婆娑羅の力を限界近くまで使うと起こる症状を私はそう呼んでるんだけど、おそらくそれが出たんだと思う。
私を支えている手の力が緩くなっているし、この症状は人それぞれなんだけどこの子の場合は胸痛が起こるから無理はさせられない。
私の場合は餓死寸前くらいの空腹状態になって、ついでに政宗様はとんでもない鬱状態になる。
この政宗様の症状が結構きついんだ。本人も世話しなきゃならない周りもさ。
「……大丈夫だ。いいか、俺の言うとおりにしろ。あの土砂が氷に包まれて凍っていくように頭の中で思い描け。
上手く出来なくても構わねぇ、お前はそう思い描けばいい。調整は俺がやる」
女の子は意識を集中させて、固く目を瞑り思い描いているようだ。
どれほど効果が出るかは分からないけれど、とにかく勢いが殺せれば少しは楽になる。
私もずっと重力の力を使い続けて、おなかが空いて仕方が無い。もう限界が近づいてる。
地響きに混じって、ピシピシと凍るような音が聞こえてくる。少しずつだけれども押さえつけて逃がしている衝撃が軽くなる。
そしてそれほど時間も掛からずに急に衝撃が無いに等しくなってしまった。
うぇっ? 何この手ごたえの無さ……まさか、あの土砂全部凍らせるつもり?
ちょっとそれはいきなり危険過ぎない? どういう症状が出るかも分からないってのに。
てか、アンタコントロール代わりにやってるのに小さな子供にそこまでやらせちゃうわけ?
「……おら達の」
女の子が私を掴む手に力が篭る。
「おら達の村は、壊させねぇだぁあああ!!」
叫んだと同時に土砂を丸ごと凍らせて、そして村を守るように現れたのは分厚い氷壁だった。
流石にこれには驚いて重力の力が解けてしまったけれど、凍りきれなかった土砂は今ので勢いを殺されて氷壁を突き破るには至らない。
この天候が幸いしたのかもしれないなぁ……氷ってのは水の属性だし、力が強くなったのかも。
女の子はそれを見ることもなく気を失って倒れてしまったけれど、
これだけの奇跡と言っても差し支えないほどの力を使ったというのに意識を失っただけで済んでしまったのは幸いかもしれない。
ま、急いで医者に診せなきゃいけ
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