第二話
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い子がいるかもしれない!! 全力で押し留めるから様子を見てきて」
「なっ……分かりました、すぐ戻りますゆえ!!」
私から身体を離して小十郎が走っていく。土砂を見て立ち竦んでいた女の子を小脇に抱え、一軒一軒家を回って様子を見ている。
すると案の定、思ったとおりに何人か子供達が家から出てきて、中には乳飲み子くらいの子までいた。
皆この状況で竦んでいたけれど、小十郎が上手く宥めて皆が避難した場所へと向かうようにと話し、子供達を向かわせている。
「姉ちゃん! おら達の村、助けてくれな!!」
はっ、そんなこと言われちゃったら頑張るしかないじゃん。
子供の一人にそんなことを言われて、やる気スイッチが入った私もなかなか現金なもんだ。
「出来るだけ頑張る!! 集中出来ないからアンタらも早く逃げて!!」
どちらにせよ、もうここまで力使っちゃったら飛んで逃げられる力も無い。だったらやれるところまでやるしかないっしょ。
「姉上!」
「アンタも逃げなさい!」
正直、自分の身だって守りきれるか怪しいんだ。それに、最悪の場合私がここで力尽きたとしても小十郎には残ってもらわないと。
政宗様だってまだ完全に一人立ち出来てないんだし、右目を二度も潰すわけにはいかないっしょ。
私一人の犠牲で他が助かるならいいじゃん。プラマイゼロどころかプラスになるでしょ。そう思ってた。
「逃げませぬ。大体、小十郎が逃げたら諦めるでしょう。生きることを」
でもこの子はそんな私の考えをすっかり見透かして、こんな状況だってのに私の身体を支えながらにやりと笑う。
まるで悪戯を見抜いたと言わんばかりに。
……ったく、この子は本当に頭が良くて困る。
「アンタ、私に逆らったってことで帰ったらたっぷりお仕置きするからね」
表情が若干恐怖で引き攣っていたけれど、ご自由に、なんて生意気にも言ってくれた。
全く……これじゃカッコよく死ぬ事だって出来やしない。
守るものがまだ残ってるんだ、意地でも潰れるわけにはいかない。
村はどうなったとしても、小十郎だけは何が何でも守らなきゃ。
不意に誰かが私の腰にしがみついてきた。
若干視線を落とすと、それはまだ子供が残っていることに気付くきっかけになった女の子だ。
ちょ、何やってんの!? さっきの子達と一緒に逃げたんじゃないの?
「おい、お前……何やって」
「兄ちゃん達が頑張ってくれてんのに、おら一人逃げられねぇ!! 婆娑羅の力ならおらにもある! 手伝えるだ!!」
婆娑羅の力を? ……くそ、こんな小さい子を巻き込みたくなかったけど、四の五の言ってられる状況じゃないか。
「力は? 何を持ってんの?」
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