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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第109話:獰猛なりし獣の力
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済む相手ではないと直感で理解したのだ。
不規則な軌道を描いて飛んでいく銃弾は、初見の相手に対しては効果抜群。回避も防御も儘ならず銃弾に身を穿たれる筈だった。
だがここで目の前の魔法使いが予想外の行動に出た。何と、指輪も使わず眼前に光の障壁を作り出し銃弾を防いだのだ。
「なっ!?」
見た事も無い魔法使いと言うだけなら、百歩譲って納得できる。だが魔法使いであるならば、指輪を使わずに魔法を使える道理が無い。
「お前……一体何者だ?」
「俺は……ビースト。魔法使いビースト…………お前ら魔法使いを狩る獣だ!!」
思わず颯人が問い掛けると魔法使い・ビーストは自らを獣と称した。恐らくは彼自身が変身した姿に
準
(
なぞら
)
えた物なのだろう。姿が青年になろうと、頭の中は歳相応かちょっぴりマセたカッコつけな性格なのだと分かり変に緊張感が薄れる。
「獣、ねぇ? なら俺はそんな獣を躾ける猛獣使いってとこかな。火の輪潜りを教えてやるよ」
挑発する様に颯人が告げると、ビーストの喉から獣が威嚇するような唸り声が上がる。案外沸点が低いようだ。こういう手合いは颯人にとって相性が良い。
「……躾けるだと? この俺を?…………ふざけるな!? 俺を躾ける事が出来るのは、たった一人――――!!」
叫びながらビーストはレイピア・ダイスサーベルで斬りかかって来た。それを颯人はソードモードのウィザーソードガンで防ぎ、お返しに回し蹴りを放つ。
ビーストは颯人が見立てた通り、性格が直情的で単純なようだ。颯人のトリッキーな動きに対抗できずあしらわれていた。
「どうしたどうした? でかい口叩いてた割には大したことないじゃねえか。でかいのは見た目通りの口だけか?」
颯人の挑発に、ビーストは小さく鼻で笑った。
「ふん、さてそいつはどうかな?」
「ん〜? どういう意味だ?」
まだどこか余裕がありそうなビーストの言葉に、颯人が警戒しながら話の続きを促した。
颯人の言葉を余裕の表れと感じ、ビーストは颯人を見返すかのように眼前で悠々と右手の指輪を変えた。
「ウィザード! お前は属性を変える事で戦い方を変えられるって聞いた」
「……良く知ってるな?」
「調べたからな。で、本題はここからだ。戦いを切り替えられるのが自分の専売特許とか思ってないか?」
「何?」
訝し気に首を傾げる颯人の前で、ビーストは指輪と取り換えた右手をベルト右上の突起の窪みに嵌め捻った。
〈バッファ! ゴーッ! バッバ、ババババッファー!〉
ベルトから音声が響くと、シンプルな造形だった右の肩当が変化し赤い牛の頭を模した肩当になりそこから同色の赤いマントが伸びた。
あれで一体何をするつもりなのか分からない
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