暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第109話:獰猛なりし獣の力
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情はちょっぴり浮かない。颯人自身、物足りなさを感じずにはいられなかった。
 その理由に颯人は直ぐに見当が付いた。本当に自分の大活躍を見せたい相手、傍に居てほしい最愛の相手がこの場に居ない事が不満なのだ。

「奏の奴は今頃ロンドン、か…………。元気にしてっかな〜?」

 奏と離れた早数日。ここアメリカのロサンゼルスで華々しいプロマジシャンとしてデビューしたは良いものの、傍に彼女が居ない事は思っていた以上に寂しく物足りない。
 3年も離れていた時期があって、あの頃は耐えられていたと言うのに今は半年も離る事が辛いと思ってしまう。弱くなったのかとも思ったが、何て事はない。ただ2人が一緒に居る事が当たり前と思えるくらいに距離が近くなっただけなのだ。

 左手を見れば、薬指には奏とお揃いの婚約指輪。それを眺めれば、この寂しさも少しは紛れた。

 颯人が1人感傷に浸っていると、控室の扉がノックされた。

「どうぞ〜?」

 左手を引っ込めながら答えると、扉を開けて1人の男が入って来た。今回の舞台の主催者の男だ。男は上機嫌に笑みを浮かべながら颯人に近付いた。

「いやぁ、お見事でした。流石はミスター・輝彦の息子ですな。大成功でしたよ」
「どうも」

 男は思いつく限りの賛美の言葉を颯人に述べるが、やっぱり奏以外からの賛辞はどうにも物足りない。奏が居ない事への物足りなさを感じる毎に、早く奏と会いたいと言う欲が膨らんでくる。

――よし、帰ろう――

 主催者の男からの言葉を聞き流しながら、颯人はこっそりそんな事を決めた。なに、魔法を使えばどこへでもすぐに行ける。

「――――それでは、また次の公演の時はよろしくお願いします」
「お任せを。呼ばれればすぐにでも来ましょう」

 話を終え、主催者が出て行くと颯人は早々に荷物を纏め劇場を後にした。

 外に出ると日はまだ高い。ここからロンドンまでだと時差は大体8時間ほどだから、向こうはすっかり夜だろう。

…………このまま魔法でロンドンに向かい、ホテルで奏を迎えるのも悪くないかもしれない。

 そんな事を考えながらロサンゼルスの街を歩く。夜も煌びやかな街は、日中であっても賑やかだ。主にカジノを目当てにやって来た観光客なんかで溢れている。

 流石にこんな人の多い場所で魔法なんて使えない。少し街から離れた、人気の少ないところで転移しよう。
 そんな事を考えていた颯人だったが、不意に何者かの視線を感じた。最初それは劇場から自分を追いかけてきた、輝彦のファンか何かと思っていたが段々とその視線に悪意が混じっているのに気付いた。

――ジェネシスの連中か? ったく……――

 内心で顔を顰めつつ、颯人は気付かぬフリをして人気のない方へ向かう。

 暫く歩いて
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