暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第109話:獰猛なりし獣の力
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 奏達がオートスコアラーと名乗る女性と出会うよりも前の事……

 アメリカ・ロサンゼルス

 夜になっても煌びやかな賭博の街。その一画に、大きな劇場がある。この街のメインはカジノだが、カジノ以外にもホテルや劇場などの施設も充実していた。

 そんな人々の欲望渦巻く街の劇場に、多くの人々が集まっていた。照明を落とされた劇場で、人々が期待を胸に舞台の幕が上がる時を今か今かと待っている。

『レディース、アンド、ジェントルマーン! 君達は覚えているだろうか? 嘗て世界に名を轟かせた1人の天才マジシャンを』

 唐突に響くアナウンス。司会の話に、観客達は静かにテンションを上げていく。

『唐突にこの世を去ってしまったその天才マジシャンの名は、明星 輝彦。だがその技と血は失われていなかった!』

 開かれた舞台の幕。幕が開くとスポットライトが舞台の中心に立つ司会に当てられ、それを合図に観客達が待ってましたと言わんばかりに拍手する。
 観客の拍手で司会もテンションが上がったのか、口上に熱が籠っていった。

『今宵、我々の前に再び天才が奇跡を見せてくれる! それでは登場していただきましょう。天才の技と血を受け継いだその男の名は、明星 颯人!!』

 司会の言葉を合図に、舞台の上に一羽の白い鳩が舞い降りた。何処からともなく飛んできた鳩に観客の視線が集まる。
 そして鳩が舞台の上に着地した…………次の瞬間、鳩が白い布に変化しその布を振り払うようにして颯人が姿を現した。正に一瞬の出来事に、観客からは白い鳩が布に変化しそこから颯人が出てきたようにしか見えなかっただろう。

 そのスピードマジックに早くも観客のテンションは最高潮。拍手だけでなく歓声も上がり、颯人はそれに応える様に笑顔で手を振った。その顔は普段奏に向けているのとは違う、エンターテイナーとしての顔である。

――やっぱ、舞台の上ってのは悪くねぇ――

 やはり自分は生粋のエンターテイナーなのだという事がよく分かった。
 以前から非公式にレストランなどのディナーショーで手品を披露してきた。その時から人々を相手に手品を見せて楽しませることを彼自身楽しんでいた。
 そして今、大きな舞台の上で沢山の観客を前に手品を披露し、人々はその手品に魅了され楽しんでいる。彼らの笑顔に、颯人も楽しんで手品を次々披露した。

 後に語り草となる、『天才魔術師の復活』と呼ばれる颯人の表舞台での活躍は、大成功で幕を下ろすのだった。




 そして舞台が終わった後、颯人は控室で満足そうに椅子に腰掛けコーヒーを口に運んでいた。
 心地良い疲れが、コーヒーの苦みと温かさで洗い流されていく。

「ふぃ〜、今回は大成功だな。流石俺」

 自画自賛する颯人だったが、しかしその表
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