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英雄伝説〜西風の絶剣〜
第67話 新たな物語の始まり
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をからかったりするくらい余裕を見せて負の感情を見せない子供だと思っていた。そんな彼女にあそこまでの憎悪の表情をさせる相手に益々興味が湧いたようだ。


「その話、私も聞かせてもらってもよろしいかね?」


 すると魔法陣が現れてそこから白いスーツと仮面をつけた男性が現れた。


「『怪盗紳士』か……煩い奴が来たな」
「ははっいきなりのご挨拶だね、剣帝。だが仕方がない!リィン・クラウゼルの話ともなれば興奮もしよう!なぜなら私は彼が描く物語を期待する観客の一人だからね」


 レオンハルトは珍しく少し面倒くさそうに怪盗紳士と呟いた。それを聞いた怪盗紳士……ブルブランは怒るどころか高笑いをして話し始めた。


「痩せ狼、君が知りたがっている子供の名はリィン・クラウゼルだ。あの猟兵王に拾われた捨て子で幼いころから彼の英才教育を受けてきた戦いの申し子だよ。まだ十代だというのに赤い星座を始めとした凄腕の猟兵達や裏社会の強者たちと渡り合ってきたという」
「ははっ……!あの猟兵王の子だと!?そりゃいい情報じゃねえか!」


 ブルブランはリィンの情報を話し始めるとヴァルターは好戦的な笑みを浮かべた。猟兵王とはこのゼムリア大陸でも最強クラスの実力を持った人物だ、その男が育てた子供なら嫌でも期待が出来るというものだ。


「だが彼の魅力はそれだけではない。彼には『鬼の力』という異能を持っているのだ。その力はとても強力だが理性がなくなってしまう程に暴走してしまうらしい。彼はその力に苦悩していたが今回のクーデター事件を乗り越え力と向き合う事を決めたらしい……素晴らしい!実力者に拾われた幼い少年が様々な人々と出会い戦いの中成長していく姿……まさに物語の主人公じゃないか!」


 ブルブランはさらに大きな高笑いをしながら話を続ける。


「確か偶然彼が力を誓う所を目撃したんだっけ?」
「如何にも。かつてエレボニア帝国で彼が力を暴走させる様を偶然目にしてしまった。その時から私は彼の虜になってしまったのさ!」


 カンパネルラが前に偶然リィンが鬼の力を暴走させている所を目撃したのか聞くと、ブルブランは肯定する。


「私はその美しくも儚い彼の物語に魅了されてしまった!彼はこの先どのような道を歩むのか?どんな選択をするのか?どうやって力と向き合っていくのか?知れば知る程私の彼への興味は深まっていく!私は彼の物語の虜になってしまった者として世に広めていく語り部になりたいのだ!」
「随分と熱心ね……でも残念。リィン・クラウゼルの物語は私が終わらせるから」
「それもまた一興さ。彼がどのような最期を迎えるのか、それを見届けたいのだ」
「そのリィンって子からしたら酷い話よね、勝手にファンになられてストーカーしますって宣言さ
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