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冥王来訪
第二部 1978年
ソ連の長い手
牙城 その5
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掛かりにして、与党内に自分の政策研究会を立ち上げる頃合いであろうか
 25年、否、20年以内に首相に上がれるようにならなくては駄目だ……
BETA戦争が終わった後に、世界情勢の変化は必須……
形骸化しつつあるとはいえ、中ソ両国は依然として国連常任理事国
この機会を利用して、綾峰が押すゼオライマーに暴れてもらいたい
事と次第によっては、衰微(すいび)著しい中ソを常任理事からの交代
積年の夢でもある国連常任理事国入り、叶うかもしれない……
 かのパイロットの青年には気の毒だが、日本の為に犠牲になってもらうのが一番であろう
下手に生き残れば、間違いなく米国が欲しがるのは必須
それに、斯衛軍では持て余しているとも聞く
仮に帝国陸軍には転属したところで扱いきれるであろうか……、不安は拭えなかった
そう一人で考えている矢先、机の電話が鳴り響く
静かに受話器を取ると、向こうより初老の男が声を掛けてきた
「榊君、急いで私の所まで来てくれないか」
状況の今一つ掴めぬ彼は、力なく返事をすると受話器を置く
立ち上がると、近くにいる秘書を呼び出す
「今から、国防省に車を回せ」
急ぎ、車を手配するように伝える
衣紋(えもん)掛けに懸けてある背広を取り、羽織る
部屋を後にすると、車の待つ駐車場に急いだ

京都 国防省本部

 国防省に着くと会議室へと案内される
陸海軍の幕僚たちと大臣が、大型モニターを前にした円卓に居並ぶ
モニターの画面上には樺太とソ連沿海州の地図が投影されていた
大臣に一礼した後、席に着く
「これは一体……」
濃紺の海軍第一種軍装を身に着けた男が、彼の方を振り向く
「ソ連極東艦隊に動きがあった……」
そう言って、地図上にある間宮海峡の位置を指揮棒で示す
「パレオロゴス作戦の一環で艦隊移動をしていたと思ったが如何やら違うらしい」
周囲の目が、画面に向く
「欧州戦線への派兵であるのならば、揚陸艇や戦術機運搬船が居るはずなのだが見当たらない。
詳細は不明ながら、戦艦2隻と巡洋艦数隻の編成で、間宮海峡を南下し始めている」
思わず声を出す
「まさか……」
「ゼオライマーパイロットの誘拐失敗の報復……、可能性もあるかもしれん。
事と次第によっては、北海道と南樺太には特別警戒を出すつもりだ」
よもや武力衝突と為ったらどうするのであろうか……
「舞鶴港より最上、三隅を向かわせることにした。旧式艦ではあるが牽制には為ろう」
机の上で腕を組む大臣が、答える
「最悪の場合、呉で改装中の大和、武蔵を出す準備をしている」
男の言葉に周囲が騒がしくなる
「新潟にある戦術機部隊にも、待機命令は既に下した」
男は、周囲が静まるのを待った
そして、再び答えた
「諸君、覚悟して呉れ」
 
 赤軍とKGBの対
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