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竜のもうひとつの瞳
第九十四話
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新たに生を受けることになりました。
……姉上、覚えていらっしゃいますか? 生まれてすぐに双子の弟が遠い親戚に引き取られたと」

 うん、そりゃ覚えてるよ……覚えてますって、まさか。

 「それじゃ、ここでも小十郎は私の弟?」

 「……はい、その通りです。姉上、やっと会うことが出来ました……また、家族として側にいることをお許し戴けますか?」

 夢じゃないのか、そんな風に思って自分の頬をつねる。痛い。これは現実だ、と分かると涙が零れてきた。
少しだけ驚いた小十郎はすぐに笑って、優しく私を抱きしめてくれる。私もまたしっかりと小十郎を抱きしめた。

 何よ、最高じゃない。こんな誕生日プレゼントもクリスマスプレゼントも貰ったこと無いよ。

 「小夜香〜! 何やってんの〜!」

 部屋の中から聞こえた声に、現実に戻された。小十郎も客がいるとは思っていなかったようで、少し戸惑っている。

 「間が悪かったでしょうか」

 「ううん、いいの。小十郎、入って。友達に紹介するから、私の弟だって」

 私は手を引いて小十郎をマンションの一室に引っ張り込んだ。

 ちなみに友達に小十郎を見せたら、一斉にリアル片倉小十郎だ、と叫ばれたのは言うまでもなく、
また小十郎もプレイの途中で放置してあるBASARAを見て苦笑していたのは改めて語るまでも無い。



 何だか不思議な体験をしちゃった、あの世界にいた頃の記憶が大分薄れた私は、今はそういう感覚しか持っていない。
けれど、あそこで得たものはきっちりと私の胸の中に残っているし、可愛い弟も私のところへ来てくれた。

 ずっと独りで生きていくんだと思っていたし、人を何処かで信じられていなかったけれど、
もういろいろ吹っ切れたかもしれない。って言っても、また何処かで悩んだりもするんだろうけどね。

 でも、もう私は何があってもきちんと乗り越えていけると思う。だって今は独りじゃないのだから。

 「小十郎、ありがとね」

 友達が帰った後、私は残った小十郎にそう言った。
私の誕生日祝いに神様が用意してくれた最高のサプライズ、二十二年間でこれほど嬉しかったことはない。
だって家族を手に入れることが出来たんだもの。

 「いいえ。小十郎は言ったことは違えませんから」

 全く……この子は本当にいい子だよ。今も昔も。私の最高の弟で、唯一の家族だ。

 「姉上」

 小十郎に呼ばれて私は首を傾げる。小十郎はポケットから包装された小さな箱を私に差し出した。
一体何かと思って包みを開けば、そこに納められていたのは竜をモチーフにした銀のペンダントだった。

 「誕生日、おめでとうございます。……小十郎の好みで選んでしまいましたが、気に入ってもらえるでし
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