第二十一話 梅雨が近付いてその六
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「よくわかったわ」
「じゃあいいわね」
「お風呂に入って下着も着替えて」
「お部屋も奇麗にすることよ」
「そうしていくわね」
「反面教師はベルサイユよ」
こうも言う母だった。
「いいわね」
「ベルサイユの薔薇じゃなくて」
「そうよ、オスカルは不潔な感じしないでしょ」
「物凄く清潔な感じがするわ」
「オスカルでも汚いとね」
そうであるならというのだ。
「人気出ないわよ」
「そうよね」
「絶対にね」
「オスカルも清潔にしていたのかしら」
「そこまではわからないわ」
母もだった。
「けれど当時のフランス人だから」
「不潔だったかも知れないの」
「本当に何年もね」
それ位というのだ。
「お風呂に入らなかったのよ」
「そうしたお国柄だったから」
「マリー=アントワネットからよ」
「あの王妃様?」
「やっぱりあの作品に出てるでしょ」
「ええ、ヒロイン扱いでね」
その立場でとだ、留奈は答えた。
「オスカルが主人公で」
「オスカルもヒロインだけれどね」
「その場合はアンドレが恋人?」
「そうなるわね、それでその人がフランスに来て」
王太子の妃としてだ。
「オーストリアからね」
「そこからなの」
「あの人がお母さんに毎日入浴する様言われていて入っていたからよ」
マリア=テレジアである。オーストリア中興の祖として知られ十六人の子を産んだ母親としても有名である。
「それであの人が毎日入って」
「そこからなの」
「あの国でも入浴が定着したけれど」
「それまではなの」
「そんな風だったのよ」
「何年も入らなかったの」
「だから香水も発達したのよ」
こちらもというのだ。
「匂いが凄いから」
「そういうことなの」
「それで蚤や虱を取ることもね」
「してたのね」
「そんな風だったからね」
滅多に入浴しなかったからだというのだ。
「まして男の人は毛深いでしょ」
「あっ、白人だとね」
それならとだ、留奈も応えた。
「中学生でもそうした子いたわ」
「そうでしょ」
「アジア系の子よりもね」
「かなり毛深いでしょ」
「それで毛深いと」
「ええ、その分蚤や虱もね」
「多いのね」
留奈もそれはと頷いた。
「そうなるのね」
「毛に虱がいるし蚤もね」
「そこにいやすいから」
「尚更よ、だからね」
このこともあってというのだ。
「蚤や虱もね」
「取っていたのね」
「そうした状況でオスカルもね」
「今の私達から見れば」
「軍服はきらびやかで」
実際に当時はああした軍服であった、フランスは国家の色が白でその色を基調として着飾っていたのだ。
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