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第二十一話 梅雨が近付いてその一

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                第二十一話  梅雨が近付いて
 中間テストが終わって暫くしてだ、留奈は学校に帰ってから自分の母自分がそのまま中年になった様な彼女に言った。
「今日暑かったわね」
「ええ、湿気も多かったわね」 
 母もそれはと頷いて応えた。
「どうも」
「正直嫌だったわ」
「仕方ないでしょ、梅雨が近いのよ」 
 母は顔を曇らせた留奈に言った。
「それじゃあよ」
「尚更なの」
「暑いわよ、あとあんた最近下着黒とか紫とか多いでしょ」
「それがどうかしたの?」
「夏になったら透けるわよ」
 こう言うのだった。
「そうなるわよ」
「ああ、色が濃いから」
「夏は服の生地も薄いでしょ」
「どうしてもね」
「それでお日様の光を反射する様に白かそれ系の服だから」
 それで涼しくするのだ、これが黒だと光即ち熱を吸収してしまい余計に暑くなってしまうのであり。
「だからよ」
「透けちゃうわね」
「ブラとかショーツとかね」
「本当に透けるのね」
「あんたライン出るのも嫌でしょ」
 下着のそれもというのだ。
「そうでしょ」
「やっぱり気になるわ」
 どうしてもとだ、留奈は母に答えた。
「そのことはね」
「直接見えなくてもね」
「だから体操服でもよ」
 こちらもというのだ。
「半ズボンだけれど」
「透けない様なのにしてるわね」
「ええ、生地が薄くて身体にぴっしりしたら」
 そうした半ズボンならというのだ。
「どうしてもね」
「ライン透けるわね」
「それが凄く嫌だから」
 それでというのだ。
「そうならないものにしてるわ」
「だったらよ」
「下着も黒や紫だと」
「透けるからね」 
 ラインどころか色自体がというのだ。
「気をつけなさいよ」
「そうなのね」
「そう、だからね」
 さらに言うのだった。
「下着の色もね」
「白とかピンクとかの方がいいのね」
「夏はね。というか高校生になってよね」
「黒とか紫も着ける様になったのは」
「背伸びしたいの?」
「いや、黒ってよくない?」
 留奈は母に真顔で訴える様にして言った。
「大人の女性らしくて、それに」
「汚れもっていうのね」
「目立たないし」
「それはあるわね」
 母もその通りだと答えた。
「昔の腰巻だって赤なのはね」
「汚れが目立たないからよね」
「お坊さんの袈裟もよ」
 この服の話もしてきた。
「お釈迦様の頃に元になる服があったのよ」
「そうだったの」
「その服が白でなかったのもね」
「汚れが目立たない様になのね」
「白はどうしても汚れが目立つのよ」 
 この色の服はというのだ。
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