過去編 ウルトラピルザファイト
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う、ここは私に任せておくがいいッ!』
その様子を目にして立ち上がろうとしていたアキレスを片手で制すると、ピルザは得意げに腹を揺らしながらのっしのっしと歩み出し、スカイドンの前に立ちはだかって行く。
『ピルザ先輩、ダメです! そいつの重さはッ――!?』
身を持ってその圧倒的な重量を理解していたアキレスは、制止しようと声を上げるのだが。
彼が言い終えないうちに――ピルザは軽々と、20万tもの巨大怪獣を持ち上げてしまうのだった。自分より軽い怪獣を担ぐことなど、彼にとっては朝飯前なのである。
『う、うそーん……!?』
『……ふむ。この怪獣、どうやら元々地球人らに対する害意はなかったようだな。ならば、このまま宇宙に送り返してやるのが筋というものであろう! シュウゥワッチッ!』
その光景に瞠目するアキレスやBURKの面々を尻目に、ピルザはスカイドンを持ち上げたまま素早く地上を蹴ると、マッハ2.5という疾さで宇宙の彼方に飛び去って行く。
『ハッハッハ! 我が誇らしき後輩・アキレスよ! 君がこの地球を救えるような戦士に成長してくれる日を、心から楽しみにしているぞッ! ハーッハッハッハー!』
自分自身の重量に縛られないほどの膂力を持っているためなのか。スカイドンの巨体を、さも通常の怪獣のように持ち上げたまま翔ぶピルザの姿は、「動けるデブ」という一言に尽きるものであった。
「あんな外見であれほど速く飛べるのか……しかも、あの怪獣をああも容易く持ち上げてしまうとは……」
「でも……一体何だったのでしょう。あの異様に太いウルトラマン……」
「あぁ……何だったんだろうな、あの腹……」
嵐のように現れては去って行く。そんなピルザの立ち回りを目撃した弘原海と琴乃は、顔を見合わせて微妙な表情を浮かべていた。
それはアキレスも同様だったらしく、彼は紅い手で顔を覆いながら天を仰いている。
『……全くもう、いきなり来たかと思ったらすぐに帰っちゃって。見た目の割にフットワークが軽いのは、相変わらずなんだからなぁ』
助けられた礼を言う間も無く飛び去ってしまった先輩に、苦笑するアキレスは。ピルザが去っていった方向を見遣ると、その空に向かって手を広げ、自身も飛び上がって行く。
そして明日も、地球を襲う怪獣や宇宙人との戦いに臨んで行くのだ。ピルザが期待していた通りの、ウルトラ戦士に成長するために。
◇
その日から、約5年後。
数々の戦いを経て「一流のウルトラ戦士」へと成長したアキレスは、ついにテンペラー軍団との最終決戦に望むことになる――。
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