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ウルトラマンカイナ
過去編 ウルトラクライムファイト
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本技――スペシウム光線の体勢へと移行して行く。

『ライズアップ……光線ッ!』
『ザイナ……スフィアッ!』

 ウルトラマンクライムの最大火力を込めた必殺技、「ライズアップ光線」。ザインスラッガーの投擲に重ねて叩き込む、ザイナスフィアの「ハイパーノックスタイル」。
 その二つが同時に炸裂し、パンドンを跡形もなく消し飛ばしたのはそれから間も無くのことであった。突如として現れた謎の巨人(クライム)の勇姿に歓喜する人々を一瞥し、銀の巨人はゆっくりと弟子に肩を貸す。

『……申し訳ありませんでした、教官。俺は有彩のことを何も……』
『我々ウルトラ戦士の中にもベリアルという者が居たように、地球の人々も決して善き者ばかりではない。……その前提を踏まえた上で、我々は彼らと向き合わねばならん。心して掛かるのだぞ、この地球でウルトラマンと名乗るからにはな』

 厳しい言葉を浴びせつつも、決して弟子を見放すことなく肩を貸しているクライムは、そのままザインと共に遥か彼方へと飛び去って行く。

 家庭教師の青年を包丁で刺したという中学3年生の少女が、警察に逮捕されたと小さく報道されたのは、その翌日のことであった――。

 ◇

 そして、ウルトラマンザインが己の使命を果たし終えた日から4年後。マイナスエネルギーから解放され、贖罪を終えた毒ヶ丘有彩は――さらに美しく成長し、19歳の女子大生となっていた。
 入学当初からミスコン最有力と目されていた彼女は、当然の如く大勢の男達に言い寄られていたのだが、その全てを冷ややかに拒絶していたのだという。芸能界からのスカウトに対しても、それは同様であった。

 その一方で、テンペラー軍団の襲来によって住まいを失った人々のための炊き出しに積極的に参加していた彼女は、いつしか「被災地の聖天使」とも呼ばれるようになっていた。
 そんな彼女が、BURK隊員として視察に訪れていた椎名雄介との「再会」を果たした時。4年前から止まっていた2人の時間も、ようやく「再開」したのである――。


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