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ウルトラマンカイナ
過去編 ウルトラクライムファイト
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ぃいッ!」
「……辛い思いをして来たという過去は、今の悪事を正当化出来る免罪符ではないッ! そこを履き違えるなッ!」

 マイナスエネルギーによって凶暴化した人間の膂力は、平常時のそれを遥かに凌いでいる。それを熟知していたユウタロウことクライムは、手加減することなく有彩を押さえ付けていた。

(クライム教官、有彩ッ……!)

 その光景を見ていることしか出来ずにいた雄介は、己の未熟さが招いてしまったこの状況に苦悶の表情を浮かべ、外廊下の向こうに見える怪獣の巨影を見遣る。
 二つの嘴から猛火を放つパンドン。逃げ惑う人々が織り成す、阿鼻叫喚の煉獄。瓦礫の下敷きにされた母親に縋り、泣き叫んでいる子供。

「ぐ、うッ……おぉッ!」

 その全ての景色に追い立てられるように――雄介は腹部を抑えながら、立ち上がっていた。やがて彼はユウタロウと有彩をこの場に残して、走り出して行く。

「……!? おい、待てザインッ! 間も無く救急車と応援の警察官が到着する、お前は安静にしていろッ! 無理に動けば傷が広がるぞッ!」
「先生、雄介先生ッ! お願い、行かないでぇッ!」

 その行動に瞠目するユウタロウと有彩は制止の声を上げるが、雄介は決して立ち止まることなく、ふらつきながらも走り続けていた。
 ユウタロウとしてはすぐさま雄介を追いたいところだったが、有彩が彼に危害を加えようとしている以上、増援の警官隊に引き渡すまでは手放すわけにも行かない。

 そんな2人を置き去りにしたまま、雄介は銀色に輝く鍵状のペンダント――ザイナスキーを握り締めていた。

(すみません教官、ごめんな有彩……! 俺が、俺がもっとしっかりしていればこんなことにはならなかったのにッ……!)

 燃え盛る街の中を駆け抜け、パンドンの巨体を仰ぐ彼は。誰も責めることなく、ただ己の責任を完遂することにのみ心血を注ごうとしている。

(だからせめて……奴だけは、奴だけは俺がッ!)

 そして、その悲壮な覚悟を胸に。銀色の鍵を胸に突き刺し、ウルトラマンとしての己に「変身」するのだった。

「ザイン――イグニッションッ!」

 やがて光の中から飛び出して来た、レッド族の巨人――ウルトラマンザインが、パンドンの眼前に着地する。その着地点を中心に噴き上がる土砂の勢いが、周辺のアスファルトを跳ね上げていた。

『ジュアアァッ!』

 電子回路状の模様を持つサイボーグウルトラマンは、一気にパンドンの懐に飛び込むと――その機械化されたボディを活かした格闘戦に持ち込んで行く。文字通りの鋼鉄の拳が、双頭怪獣の巨体に減り込んでいた。

『ジュアッ……ァアッ!?』

 だが、有彩のマイナスエネルギーをふんだんに吸収していたパンドンの耐久性は、ザインの見立てを遥かに
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