外れた世界へ
一章 「訪れた最期」
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まれる事になってしまうだろう。
「けど、遠坂が悪い訳じゃない。悪いのは俺だ。頼むから『後を追う』なんて似合わない事を言い出さないでくれよ」
後悔するな、なんて無理な話なのは分かっている。
けど俺の知っている、俺の好きだった遠坂凛なら、きっと大丈夫。
そう信じている。
「私は貴方のそんな所が好きだったのかもね」
「遠坂……?」
伏せていた顔を上げて、こちらを見る遠坂。
その顔は無表情ではなく、かといって後悔に染まっている訳でもない。
そうだ、俺はそんな遠坂凛のお陰でここまで来れたんだ。
「貴方以外の男に恋をする事はもう無いかもしれないわ」
「なんでもないわ。さぁ、そろそろ時間よ」
彼女は檻の鍵を開け、俺を外に連れ出した。
俺を―――殺す為に。
外は一面、樹で埋まっていた。
どうやら何処かの森の中らしい。
冬木のアインツベルンの森を彷彿とさせる場所だった。
この手の場所は人目に付きづらく、俺達の様な人種には重宝される。
外に出た俺達はそれから一言も話さなかった。
俺の手足は手錠と鎖に縛られ、その横を歩く遠坂は俺に見向きもしない。
俺達はただ機械的に歩く。
途中で五体の監視用ゴーレムが合流し、俺達は開けた場所に出た。
これで良い。
呪文の詠唱を開始する遠坂。
これで彼女の安全は保証される事だろう。
俺は最期にこの命で家族を守ったんだ。
もう思い残すこともない。
だが……。
「いや、お主はまだ死ぬには早い」
何処からかそう聞こえ、そして俺の視界は強烈な閃光に包まれた。
「――――ッ!?」
襲撃……このタイミングで?
物体の爆ぜる音、全て人体ではなく、人工物の破裂音だ。
「遠坂ッ!」
まだ視界は元に戻らないが、この状況では遠坂が危険だ。
視界の歪みにバランスを崩し、よろけながらも遠坂がいた場所にたどり着く。
「無事か、遠坂!」
「私は大丈夫よ士郎」
互いの無事を喜んでいる隙はない。
「逃げてくれ遠坂。このタイミングの襲撃だ、次は遠坂が危ない」
この攻撃だ、俺の回収が狙いだろう。
なにせ稀少な固有結界の使い手だ。
襲撃に乗じて奪取された俺を回収した。
そんなシナリオで協会に取り次ぎ、名を挙げようとする輩がいても不思議ではない。
「それはこっちの台詞よ士郎……早く逃げなさい」
「狙われているのは遠坂なんだぞ、危険だ」
このシナリオでは目撃者は邪魔でしかないのだ。
遠坂が―――消される。
「だからこそよ、戦えない士郎が抵抗なんてしたら死ぬわよ」
そう、俺の手には手錠、足には枷が付いている。
手錠の方はただの手錠でなく、牢獄の中と同じく、魔術を無効化させる物だ。
今の俺は全く戦えない。
もし衛宮士郎の回収に生死を問わないな
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