外れた世界へ
一章 「訪れた最期」
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れない』と知った上で選んだ道だ、後悔が有るとするなら、建てた誓いを完遂出来なかったという一点のみだろう。
…………。
二人して黙りこんでしまう。
「士郎、監視はゴーレムが五体。戦闘に特化したタイプで、並の魔術師十五人分の戦力よ。やれる?」
次に口を開いた遠坂の一言は、耳を疑う物だった。
それまでとは一変して、悲痛な表情を浮かべる遠坂。
「それはつまり、俺に脱獄しろって言ってるのか?」
コクン、と無言で遠坂は頷いた。
それは、俺が最も望んだ一言であり、そして絶対に賛同出来ない誘いでもある。
冷静にこの状況を考えれば、理由は簡単だ。
俺の処刑を何故、遠坂がするのか?
同然ながら協会側から彼女、遠坂凛が指名されたからである。
だが、考えてみて欲しい。
遠坂は確かに優れた魔術師だ。
優れた魔術師ではあるが、遠坂はいつから処刑執行官になった?
通常なら、こういうは専門にしている奴にやらせる筈だ。
なのに何故、遠坂なのか。
答えは簡単な事だ。
俺の行いに加担していた者を捜索する為である。
残念ながら、最有力候補である遠坂凛の関与は認められなかった為、彼女が投獄される事はなかった。
しかし、彼女への疑いは晴れていなかった為に、執行人には彼女が選ばれたのだ。
遠坂に俺を殺させる事によって、自身の潔白を照明しろ、と言っているのだろう。
ふざけた話だが、遠坂の身の安全の為を思うなら……。
「もう良いんだ、遠坂」
「ちょっと、何を言ってるのよ士郎!?」
まぁ、遠坂の言いたい事は分かる。
けど、俺が俺である為にはこの選択しかないんだ。
「諦めよう、そんな事をしたらどうなるか分かっているだろ?」
そう聞くと遠坂は顔を伏せた。
俺に分かる事が、遠坂に分からない筈がない。
「今、ここで逃げないと死んじゃうのよ?」
それでもだ、遠坂。
最期まで彼女に迷惑をかけ続けている俺に、そこまでしてくれなくても良いんだ。
「俺が皆を守る為には、こうするしかない。……そうだろ?」
「でも、私は―――」
遠坂は何かを言いかけたが、そこで少しためらった。
協会の手は遠坂だけでなく、桜や皆にも及ぶかもしれないのだ。
「士郎、貴方は後悔してる?」
数瞬の沈黙を経て、遠坂はそう聞いてきた。
それはここで命を絶たれる事に対してだろうか……、いや違うだろう。
遠坂は俺の人生の事を聞いているのだ。
「正義の味方を目指した事に関して俺に後悔はないよ」
その結末はアイツと変わらなかったが後悔はしていない。
する筈もない。
「悪いな遠坂。俺を殺させてしまう事になって」
遠坂は家族なんだ。
俺が遠坂の立場だったとして、家族殺しをしたい筈がない。
きっと、一生の間、後悔の念に苛
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