外れた世界へ
一章 「訪れた最期」
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「結局、アイツと同じ末路だったって事か」
少年は床に座り込んで自嘲する。
まぁ、可能性としてはゼロではなかった結末だし、そう驚く事でもないんだが。
分かってはいても、中々に堪えるなこれは。
現状の確認をしよう。
俺……衛宮士郎は今、かなり特殊な部屋にいる。
どんな部屋かと言うと、部屋全体が石造りで、入り口と窓は鉄格子で出来た部屋だ。
まぁ、早い話が分かりやすい位、古典的な『牢屋』だな。
別に好き好んでこの部屋にいる訳じゃない。
俺はいつもの如く、紛争地帯で人命救助を試みていた。
どうやったって被害はゼロにはならない。
それでもゼロに近付けるべく、あれやこれやと奔走をしていたんだが……。
今回の戦場は状況がかなり危険な物だった。
死体を媒介に、死徒モドキを精製しようとする魔術師が居た為、被害者を増やさない戦いを強いられたからな。
お陰でかなりの数の死徒モドキを殺してしまった。
彼等も元は人間だったと思うと胸が痛む。
話を戻そう。
とにかく、モドキを掃討する過程での魔術の露見が度を過ぎていたという事で、前々から機会を伺っていた協会の連中が俺を捕らえた訳だ。
ちなみに、肝心の魔術師はアッサリと捕まって粛清されたらしい。
連戦続きで魔力が枯渇している所だったから、俺も呆気なく捕まったんだけどな。
そして、さっき意識を取り戻したって訳だ。
「抵抗も出来ずに入れられたけど、嫌な予感がするんだよな」
こう言うときの予感は、よく当たるのが嫌な所だ。
なにせ協会だからな。
ちなみに遠坂曰く、俺は貴重なサンプルとして保管されるのがオチとの事。
「冗談じゃない、ホルマリン漬けなんてゴメンだからな」
檻に手を触れる。
解析は出来ないがただの檻だろう。
今はやれる事をやるだけだ。
「投影……開始」
手頃な剣を用意するとしよう。
時を重ねてきた剣という物は、それ自体が一種の概念武装になるという。
宝具ではないが、この剣も数多の戦いで担い手と生死を共にした名剣だ。
この程度の檻なら、バターのように切断出来る。
基本骨子、構成材質、蓄積記録、全て良し。
「あれ?」
おかしいな……、なかなか剣が実体化しない。
「投影が…出来ない……のか?」
そう言えば、さっき解析しようとしたが出来なかったな。
「投影だけじゃなくて、解析も駄目って事は」
ここでは魔術の行使が出来ない事になる。
恐らくここは、何らかの魔術的隔離空間なのだろう。
という事は強化も出来ない。
「魔術が使えないなら……」
檻を全力で蹴りつける。
ビクともしないな、この檻。
脱獄を企てる死刑囚の気持ちが分かったかもしれない。
「と言うか、死刑囚そのものか」
思い出せ、衛宮士郎。
こう言うときの脱獄のセオリー
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