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麗しのヴァンパイア
第四百四十八話

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               第四百四十八話  眼鏡は
 春奈の母は娘にパーティーの時に着て行くドレスを手渡した、それで終わらず今度は父が彼女に言ってきた。
「お父さんはこれを用意しておいたぞ」
「コンタクト?」
 見ればそうであった。
「お父さんはコンタクトをなの」
「ああ、お前の誕生日にな」
 これは妻である彼女と同じだった。
「買ってな」
「こうした時になの」
「お前は眼鏡が好きだけれどな」
 それでもというのだ。
「その方が安全だからと言って」
「ええ。目の中に入れるのはね」
 どうしてもとだ、春奈は父に答えた。
「怖いし」
「そう言うけれどお前は目が奇麗だから」
「それでなのね」
「よかったらな」
 付けたくなればというのだ。
「付けるといい」
「そうなのね」
「視力も合わせてある」
「そちらもしてくれたの」
「お前にな、だからな」
 それでというのだ。
「安心してだ」
「付けるといいのね」
「ちゃんと見えるしな」
「そうなのね。それじゃあ」
 春奈はコンタクトを自分のポケットに収めてから父にあらためて応えた、その中身を見た後ケースに戻してそうした。
「その時はね」
「そうするんだぞ」
「ええ、ただ私そんなに目が奇麗なの」
「お父さんから見るとな」
「そうなのね」
「その目ならな」 
 春奈の奇麗な目ならというのだ。
「もてるだろうな」
「私もてるの」
「ああ、もてるぞ」 
 太鼓判を押した言葉だった。
「絶対にな」
「そうなのね」
「だから将来は悪い男は気をつけるんだ」
 笑っていたが本気の言葉である。
「いいな」
「うん、そうするね」 
 こうしたことも話してだった。
 春奈もパーティーの準備を整えた、そうしてその日を待つのだった。


第四百四十八話   完


                2022・2・20
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