第五幕その四
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「本当にね」
「このお城は秀吉さんが建てたのよ」
王女がお話してきました。
「豊臣秀吉さんがね」
「日本の人だったね」
「戦国時代の日本を統一した人よ」
「お百姓さんからだね」
「ええ、そしてね」
そうしてというのです。
「大阪という街を栄えさせた人でもあるのよ」
「そうなんだね」
「その人が築いたのよ」
「成程、凄い人なんだね」
王子は王女のお話を聞いて秀吉さんについてこう思いました。
「それだと是非ね」
「お会いしたいわね」
「その人ともね」
「おお、それは何よりじゃ」
天守閣の最上階の廊下のところから街を見る皆にでした。
後ろから声がかけられました、そこにいたのは。
お猿さんみたいなお顔で小柄で気さくな感じの表情で、です。随分と派手な金を多く暑かった着物を着ています。
その人がです。
人懐っこい感じで皆のところに来てです、王子の肩をぽんぽんと叩きつつ言ってきました。
「わしのことをそう言ってくれるとはな」
「まさか貴方が」
「そう、この方がよ」
王子は微笑んで答えました。
「豊臣秀吉さんよ」
「この人もオズの国に来られているからね」
「夢のある人だから」
「この街はやっぱりこの人がいないとね」
「オズの国でも」
「さもないとこの街じゃないわよね」
ジョージ達五人も言います。
「おられると聞いてどれだけ驚いたか」
「この人もオズの国におられるなんて」
「けれどそれでも」
「実際におられてね」
「僕達もお会い出来て何よりだよ」
「ははは、そなた達もそう言ってくれるか」
その人、豊臣秀吉さんはジョージ達のお話にも笑顔で応えました。見ればとても人懐っこい感じの明るい笑顔です。
「嬉しいのう、それは」
「あの、何かです」
王子は笑う秀吉さんに少し驚いた感じで言いました。
「秀吉さんは凄く親しみやすい」
「そう見えるな」
「そんな人ですね」
「天下人でもない、そして太平の国におる」
オズの国にというのです。
「それなら威厳もいらぬ、本来のわしのままでな」
「過ごされていますか」
「家はこの城にあってのう」
そうしてというのです。
「ねねと楽しく暮らしておるぞ」
「ねねといいますと」
「女房じゃ」
その人だというのです。
「二人で毎日面白おかしく過ごしておるぞ」
「この街で、ですか」
「左様、尚わしはよかったら羽柴藤吉郎と呼んでくれ」
「豊臣秀吉でなくて」
「左様、豊臣は本姓で秀吉は諱であるからな」
だからだというのです。
「相当な時でないと使わぬからな」
「だからですか」
「ほれ、オズの国には源次郎達もおるが」
「幸村さんですね」
ジョージは源次郎さんがどなたかすぐにわかりました。
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