失恋する姉
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も一番仲がいいのがジャンだった。レアンオン兄さまの話もジャンには沢山した。きっと、あたしの髪にかける思いいれも覚えててくれたのだろう。優しい子だから…。
「ごめんなさい…。でも、もう、いいの。あたし、わかってるから、ちゃんと。思いきるためにも、いっそ」
「バカなこと言うな!」
ジャンの言葉がより強くなる。
あれ…失恋したら髪を切る、って女の子だけにしか知られていないのかな。
ジャンを泣かせたくないから、髪を切るのは諦めよう。
「ごめんね、ジャン。泣かないで。わかった、もう諦めるから…」
「当たり前だ!もう、絶対するなよ。二度とだぞ。約束しろ」
「うん、約束する。もう二度としない」
…でも私このままじゃ髪オバケになりそうだけど…いいや、ジャンが泣かないんなら。
「あ、待って今の取り消し!5分だけ取り消し!」
あたしは床に転がった短剣をさっと拾った。
「サラ!」
ジャンが血の気の引いた顔で叫んで手を伸ばしてきた。
ごめんね、ジャン!
あたしは、素早く自分の髪をひと束掴むと切り落とした。ジャンが邪魔する隙も与えなかった。
ジャンは青い顔で、あたしを呆けたように見ている。
「ごめんね、切っちゃった」
ジャンは、切られたあたしの髪に目を落とした。
「サラ!バカ野郎なんてことするんだ心臓が止まるかと思っただろ!」
ジャンはあたしの首に腕をまわして抱きついた。
昔ならまだしも、あたしと同じぐらいの身長になったジャンに加減なく抱きしめられると、ちょっと苦しい。
「ジャン、これをあたしだと思って大事にしてね。お姉ちゃんは、ずっとあんたたちのこと見守ってるからね。」
そう言ったら、ジャンが不思議そうに顔をあげた。
「サラおねーちゃんいっちゃやだああぁあああ」
「うわあああああぁぁああぁん」
「サラ!女の子の一人旅なんて危ないから、止めるんだ!」
「せめて兄さんがついて行く!」
「絶対に止めろ、母さん」
「サラになんて無理だ!」
我が家が大家族だと言うことは先に述べたとおりだが、我が一つ下の弟で、ノエルというやつがいる。
そのノエルは、5年前旅という名の家出をした。11歳でだから、大したものよね。
「母さん…」
あたしは準備万端、すっかり旅支度の整った手で、そっと
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