暁 〜小説投稿サイト〜
星河の覇皇
第八十部第五章 秘密兵器その二十九

[8]前話 [2]次話
「何でもありません」
「十九世紀ですが」
 その時代のことをだ、バールは話した。
「欧州各国はその技術を絶対と思っていましたね」
「はい、最高の技術で」
 八条はバールにも答えた。
「そしてです」
「その技術が他の人種が持つことは」
「このことも絶対と思っていましたね」
「絶対にないとですね」
「思っていました」
 山玉革命がもたらしたその技術をというのだ。
「そしてこれがです」
「白人至上主義の根幹にもなっていましたね」
「キリスト教と共に」
 これもまたキリスト教の信仰が歪んだ事例の一つだった、とかく歪んでしまったことが歴史に多かった宗教だったと言えるだろうか。
「そうでした」
「左様でしたね」
「はい、しかし」
「彼等のその考えは」
「間違いでした」
 八条は一言で述べた。
「まさに」
「左様でしたね」
「技術はノウハウを理解し」
「そして資源があれば」
「教育を受けていれば」
 学校でのそれをだ。
「やがてです」
「誰でもですね」
「身に着けられます」
 そうしたものだというのだ。
「まず教育機関を確立し」
「学者や専門家、技術者を育て」
「そうした下地が必要ですが」
「その下地を整え」
「後はです」
「ノウハウを理解し資源を手に入れれば」
「どの様な国でもです」
 そして人種でもというのだ。
「備えることが出来ます」
「それが技術ですね」
「マウリアもエウロパも」
 今度は劉が述べた。
「どちらもですね」
「そうです、あの時は欧州各国が圧倒していて」
「今は我々ですが」
 それでもというのだ。
「数百年の開きなぞです」
「瞬く間にですね」
「努力すれば七十年で」
「追いつけますね」
「そうなりますので」
 だからだというのだ。
「マウリアについても」
「今ですね」
「数百年過去の技術でも」
「無償ではですね」
「渡すことは」
 それはというのだ。
「よくないです、ましてや」
「はい、技術が」
 劉はその目を暗くさせて八条に話した。
「エウロパに流れています」
「もっと言えば流していますね」
「我々の技術を」
「そしてエウロパを技術的にもです」
「発展させようとしていますね」
「エウロパが技術革新を遂げれば」
「そして我々に追いつけば」
 そうなればというのだ。
「まさにです」
「我々にとっては」
「脅威ですね」
「それに他なりません」
 八条は劉に強い声で話した。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ