第十七章〜終幕、そして〜
第九十話
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!! 我は安芸の守護者、毛利元就よ!!」
あの鉄面皮が引き攣っていたのには気付いていたけれど、あの変わり身を見て指摘しないわけにはいかないじゃないの。
「でも、あんだけ爽やかな顔して笑ってたのに。愛に目覚めたんじゃ」
「我の黒歴史を突くでない!!」
……はっきり黒歴史って言っちゃったよ、この人。つか、無かったことに納めたいってのかい。
落ち着いたら例の歌でも歌ってやるかねぇ。ザビザビ〜ってさ。
しかし関ヶ原の戦いで姿を見なかった人達がこうして現れるってことは……皆、これを倒す為に援軍として駆けつけてくれたってことか。
いいねぇ……こうやって、皆で協力して戦えるのって。
「そろそろ行こうか、小十郎」
「はい」
こんな状況では不釣合いなくらいに互いに笑い合って、静かに刀を構えた。
「奥津城に下る光や数多……!」
声を揃えて、かなり萎んだ魔王へと突っ込んでいく。
流れるような剣閃を鏡映しに、反撃の間など与えないとばかりにきっちりと婆娑羅技を叩き込んでやった。
政宗様に手篭めにされそうになって、奥州を出てからいろいろあった。
甲斐に行って幸村君に助けて貰って、加賀に行ってまつさんや利家さんに助けてもらって、慶次に町を案内してもらったのも良い思い出だ。
その後のは思い出したくないけど、竹中さんに会ったのも悪い思い出じゃない。
毛利にも、アニキにも……いろんな出会いを経て今この場に立ってる。
現実の世界にいて、画面越しにプレイしてるだけじゃ分からなかったことが山ほどある。
あんな風に絶望感だけを胸の奥底に抱いて生きていたら、きっとこんな風に昂ることも無かっただろう。
心の底から笑えることも無かったと思う。
戦うことが嬉しいんじゃない。こうして皆と一緒にいられることが嬉しいんだ。
現実世界じゃ得られなかった確かな絆がここにある。
だから。
「これで、終わりだ……!」
最後の一閃を叩き入れた後、白龍と共に黒い外殻が全て砕け散った。
そして中から現れたのは、バグではない正式なキャラクターの一人、第六天魔王織田信長だった。
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