第二十話 楽しく食べられるその十三
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「だったらよ」
「目の前で吸われてもなのね」
「一華は嫌なのね」
「もうね、あの匂いも」
煙草のそれもというのだ。
「嫌だしね」
「あんたそこまで嫌いって何があったのよ」
富美子は口をややへの字にさせてどうかという顔になって問うた。
「一体」
「子供の頃から匂いとかが嫌いでね」
「それでなの」
「早死にするとか癌になるとか聞いて」
そうしてというのだ。
「尚更ね」
「嫌いになったの」
「ええ、一生吸わないわよ」
「何があっても」
「吸わないといけないってことある?」
「そう言われるとないわね」
「だったらよ」
それが必須でないならというのだ。
「もうね」
「吸わないのね」
「絶対にね、癌にならない為にも」
まさにその為にもというのだ。
「二十歳になってもよ」
「吸わないでいて」
「それでやってくわ」
「そうなのね」
「まあ私達全員吸わないって言うし」
かな恵は意見をまとめて述べた。
「それならね」
「いいのね」
「うん、けれどやっぱり一華ちゃんはね」
「嫌い過ぎなの」
「そこまで嫌わないてもいいわ、流石に麻薬程じゃないし」
そこまで悪質でないというのだ。
「身体に悪くてもね」
「麻薬は論外でしょ」
一華は即座に返した。
「覚醒剤なんて」
「やったら犯罪よ」
「かなりのね」
「そう、しかも身体にもね」
「悪いわよね」
「早死に間違いなしだから」
そこまで悪いというのだ。
「身体ボロボロになって心もね」
「ボロボロになるわね」
「廃人になってね」
文字通りのそれにだ。
「それでどう考えてもね」
「早死にするわね」
「そうならない筈ないから」
絶対にというのだ。
「あんなのはね」
「問題外」
「駄目、絶対よ」
「お金もかかるし」
「滅茶苦茶高いのよ」
「犯罪でしかも身体も心もボロボロになるのに?」
「それでもね」
いいことなぞ何もない、覚醒剤だけでなく麻薬全体がそうだ。事実覚醒剤中毒の者が死んだ時に火葬されて骨までボロボロで灰しか残らなかったという話がある。
「高いのよ」
「何でそんなのにお金使うのかしら」
「使うと気持ちいいらしいわよ」
かな恵はこう一華に応えた。
「覚醒剤だと気持ちが昂って力が湧き出てね」
「だから『覚醒』剤なのね」
「そうなの」
「そういえば昔は合法でね」
一華は覚醒剤のこのことに言及した。
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