第二部 1978年
ソ連の長い手
牙城 その4
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か」
「『綸言汗の如し』……。
木原を抹殺するとの言、一度出れば取り消せない」
左手で、置いてある金属製の鞘を掴む
「貴方自身の体面保持の為、党益はお捨てなされ」
右手に握った刀を、ゆっくりと鞘に納める
「同志首相、連邦共和国の行政を一手に握る貴様が、何を恐れるのだね。
自由に差配できるではないのか」
鞘尻を下にして、柄頭を持ち上げ、杖の様に構える
「是よりKGBに招集をかけ、参謀総長を抹殺する。
参謀本部とGRUに巣食う反革命分子を一掃すれば、党は自在に動かせる」
「ソビエトを二つに割る心算か!」
男は、首相の方を向く
「ソビエトが常に一つであった試しが、あったかね。」
右手を挙げ、壁に掛かった肖像画を、食指で指し示す
「同志レーニンが1898年に社会民主党を創設して以来、常に内部闘争の歴史が繰り返されてきたのを忘れたか」
右掌を天に向け、ゆっくり持ち上げる
「反革命分子の社会革命党の一斉処刑、極右冒険主義の追放……。
これらがあって、初めてソビエトは形作られた」
勢い良く、老人の方に右手を差し出す
「議長、貴方が主体的になって、今度の闘争を勝ち抜かねばならない。
木原の首とミンスクハイヴ攻略という果実、議長退任への花道を飾る良い機会ではないか……」
其のまま、力強く拳を振り上げる
「反革命的傾向のある赤軍への闘争を是より始める」
男の言葉に、気圧された首相……
身を震撼させ、額には脂汗が滲む
顫動する彼を尻目に、男は力強く言い放った
「我等に残された道は、闘争しかないのだよ」
その言葉に観念したかのように、漏らす
「嗚呼……」
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