第一章
[2]次話
住所公開
この時岩清水健一郎は友人からの話を目を輝かせて聞いていた。
「インターネットはそんなものなんだ」
「そうなんだよ、もう誰でもね」
「マスコミみたいなことが出来るんだ」
「サイトとかで宣伝すれば」
それでというのだ。
「日本中どころか世界中に」
「色々言えるんだ」
「そうなんだ、言うなればね」
彼は岩清水にさらに話した。
「どこでもドアみたいな」
「そんなものなんだ」
「これを使ったら」
それこそというのだ。
「新聞記者やテレビの司会者でなくても」
「自分の意見を人に言える」
「そして」
そのうえでというのだ。
「それは世界にすぐにだよ」
「広まるんだね」
「そうしたものなんだ」
「それを使ったら」
どうなるかとだ、岩清水は考える顔で言った。
「凄いことが出来るね」
「そうだね」
「自分の主張を即座に全世界に訴えられる」
「そして情報も」
それもというのだ。
「すぐに伝えられるんだ」
「だったら」
岩清水はさらに言った、通っている高校の黒い詰襟がよく似合う七三分けの黒髪と痩せた顔に眼鏡といった外見である。
「もう新聞やテレビよりも」
「情報の伝達が早いよ」
「そうだね、新聞は朝刊と夕刊で」
「テレビだって実況はあっても」
「やっぱり普通は編集とかがあるから」
「すぐじゃないね」
「けれどネットだと」
こちらではというのだ。
「何時でも伝えられるよ」
「そのことも大きいね」
「迅速に拡められる」
自分の主張や手に入れたことをというのだ。
「それが出来るんだ」
「そんな便利なものが世の中にあるなんて」
「凄いことだね」
「全くだよ」
友人の話に唸った、そしてだった。
家で母にそのインターネットのことを話してだった。
そのうえで自宅につないでもらった、そうしてだった。
色々なサイトを観てみた、すると実際にだった。
「新聞やテレビよりも遥かにね」
「情報を速く知れるね」
「これは凄いよ、しかもサイトを開いたら誰でも観られるから」
このこともあるというのだ。
「凄いね」
「そうだね」
「だからね」
それでというのだ。
「すっかり病みつきになったよ、今度自分のサイトを立ち上げようかな」
「そう考えているんだ」
「うん、ただね」
ここでだ、岩清水は。
顔を暗くさせた、そのうえで友人に言った。
「またいじめで自殺する人が出たね」
「そうだね、嫌なことだよ」
「いじめは大嫌いだよ」
岩清水は嫌悪を込めて言った。
「この世で一番ね」
「君はそうだね」
「いじめられた経験はないけれど」
それでもというのだ。
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