第一章
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死んでこそ
アダパは知恵の神エアの子であり彼が創造した人間であった、神の子ではあるが人間であったのには訳があった。
「そなたには無限の知恵を与えた」
「その知恵で、ですね」
「人間達を導くのだ」
エアは自分と同じ白髪で白い髭を生やした老人の姿をした彼に話した。
「だからだ」
「私を人間として生み出されたのですね」
「そうだ」
その通りだというのだ。
「だから死にもする」
「そうなりますか」
「人間だからな、それでいいな」
「はい、私自身です」
アダパはアヌに答えた。
「人が好きで人として生きることがです」
「よいか」
「妻も子供もいますが」
「皆人間だな」
「皆死んで私だけが残っては」
神であり死ぬことがなくだ。
「これ程寂しいことはありません」
「だからだな」
「私は人間でいたいです」
最後までというのだ。
「そうしたいです」
「わかった、ならな」
エアは我が子の言葉を聞いて頷いた。
「その様にな」
「して頂けますか」
「我が子の考えだ」
エアはアダパに笑顔で答えた。
「それを受け入れずにいられるか」
「それでは」
「うむ、その様にな」
「お願いします」
アダパもこう応えてだった。
彼は人間のままでいた、そんな中でだった。
アダパは人々に知恵を与え導いていった、彼は非常に聡明であり知識も備え人々を正しく導いていった。
しかしそんな中で漁をしている時に南風に乗っている船を転覆させられ海に落ちてずぶ濡れになってしまい。
怒って南風に呪いの言葉をかけて彼の翼を折った。すると。
南風からその話を聞いた天空の神アヌは激怒して言った、
「アダパをここに呼んでだ」
「そうしてですか」
「あの者を裁きますか」
「そうする、すぐに呼ぶのだ」
こう周りの従神達に告げた、それを聞いてだった。
エアは即座に息子の窮地を救おうとだった、アダパに話した。
「いいか、アヌ神のところに行く前にだ」
「その前にですか」
「アヌ神の宮殿の門に彼に仕える神々がいる」
「従神のうちですね」
「タンムズとギズジダがな」
その彼等がというのだ。
「いる、エアは彼等を心から信頼している」
「だからこそ宮殿の門を護らせているのですね」
「そうだ、この者達は賄賂等は一切受け取らないが」
それでもというのだ。
「実は主であるアヌを褒められると喜ぶ」
「そうなのですか」
「自分達を褒めてもお世辞と思い動かないが」
「主神であるアヌ神を敬愛しているので」
「そうされるとな」
主神を褒められると、というのだ。
「喜ぶ、それでアヌ神にとりなおしてくれてな」
「私は罪を逃れますか」
「うむ、しかしこの度はそ
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