第三章
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オボイは皇帝の相撲を観に行くことになった、周りの誰もそのことについて危ういものを感じていなかった。
「ではです」
「行ってらっしゃいませ」
「何でもないことですし」
「是非」
「そうだな、さてどんな相撲か」
笑ってだ、オボイは周りに話した。
「観させてもらうか」
「子供でも相撲は相撲です」
「やはり観るべきものがありますな」
「そうだ、だからな」
それでというのだ。
「楽しんで観て来る」
「それでは」
「その様に」
「今から行く」
オボイは安心しきって皇帝の招きに応じた、そうしてだった。
皇帝が行っている相撲の場に来た、そしてまずは玉座から観戦している皇帝の前に出て拝謁した。皇帝は彼に穏やかな声で告げた。
「よく来てくれた」
「いえ、お招き頂き恐悦至極です」
礼儀として建前であるがこう返した。
「万歳爺にそうして頂き」
「では今からだ」
康熙帝、少年である彼はオボイに玉座に座ったまま告げた。
「そなたには観てもらおう」
「相撲をですか」
「いや、違う」
皇帝は表情がなかった、そのうえでの言葉だった。
「そなたの罪をだ」
「罪!?」
「かかれ」
皇帝の右手が前に出された、すると。
それまで相撲をしかつ休んでいた子供達がだった。
一斉にオボイに襲い掛かった、彼等はまだ子供であったが。
相撲で鍛えているせいか強かった、その力で群がられ。
まだ確かな体格であったオボイも為す術もなく押さえられた、そして縛られたが皇帝はその彼に対して告げた。
「まさかと思ったな」
「万歳爺、これは一体」
「朕は考えたのだ、朕がまだ子供であるのをいいことにして好き放題するそなたをどうして抑えられるか」
皇帝はオボイに自分の考えを話した。
「そして信じられる者を集め相撲をさせた」
「まさか」
「そのまさかだ、朕が相撲ばかりに興じてだ」
「政に興味がないと」
「そう思わせてだ」
そしてというのだ。
「そなたを油断させこうして来たところでだ」
「相撲で鍛えた者達で、ですか」
「そなたを捕らえようとな」
「そうでしたか」
「そこまでとは考えていなかったな」
オボイに対して問うた。
「とても」
「その通りであります」
「迂闊であったな、ではそなたを裁く」
専横を極めた彼をというのだ。
「覚悟はいいな」
「こうなっては致し方ありませぬ、ただ」
「ただ、どうした」
「その若さでそこまでお考えで為されるとは」
オボイは康熙帝の顔を見上げて言った。
「どうやら万歳爺はかなりの方ですな」
「そう思うか」
「はい、そして清は」
王朝はというのだ。
「安泰ですか」
「これからはこの国は朕が治めるがな」
「どやから清に憂いはないですな」
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